[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2016/03/23
抄訳記事公開日:
2016/05/20

機械学習機能による無線周波数信号利用の最大化

New DARPA Grand Challenge to Focus on Spectrum Collaboration

本文:

2016年3月23日付けの国防高等研究計画局(DARPA)の標記発表の概要は以下のとおりである。

DARPAはこのほど最新の「グランド・チャレンジ」である「周波数帯域協力チャレンジ」(Spectrum Collaboration Challenge:SC2)を発表した。これは指数関数的に増大する軍事用・民事用の無線デバイスが、ますます混雑の度が増している電磁波周波数帯域においてもフルアクセスできる環境を確保することを目指している。SC2では、急速に変化し過密化している現在の周波数帯域環境に対して、競争ではなく協力することでリアルタイムに適応できるスマートシステムの開発を目指すチームを助成するものである。従来の人間と機械による周波数帯域の管理方法を見直すことで、無線周波数信号のフローの最大化を狙う。

SC2の主たる目標は、無線通信に高度な機械学習機能を組み込むことであり、それにより無線周波数帯域利用を最適化するための戦略を共同で開発することである。その場合、指定された周波数帯への排他的アクセス権を予め割り当てるという現在の(本来効率的でない)方法はとらない。本チャレンジでは、最近進歩の著しい人工知能や機械学習の両方の利点を活用することで、このような研究領域での新たな展開に拍車がかかることを期待している。また、共同の意思決定が重要である他分野での応用も期待できる。

本チャレンジは急速に増大するニーズを反映したもので、軍事作戦では戦術環境の評価や重要任務の連係・遂行に無線周波数帯域を利用する機会が増大している。また社会では、冷蔵庫から自動車そして商用の無人飛行機に至るまで、これまでにない多くの製品が無線周波数帯域を利用する時代に突入している。

この新規チャレンジのホスト役としてDARPAは、この種の施設としては最大規模の無線テストベッドの建設を目指している。そのテストベッドは、SC2期間中および期間後でも、次世代無線システムに必要とされる周波数帯域共有戦略、戦術、そしてアルゴリズムの評価を行うための国家的資産として活用される。

SC2は3年間にわたる長期フェーズを2017年に開始して、2回の予備審査に勝ち残っている最終選抜対象者のライブ・コンペティションを行う2020年初めに終了する。様々なタイプの無線周波数と最も効率的に協調して、無線周波数帯の使用をダイナミックに最適化することを可能とする最優秀チームに授与される賞金は200万ドルである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]