[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2016/04/19
抄訳記事公開日:
2016/05/26

脳科学、災害対策および未来の科学者育成について主要国科学アカデミーが共同声明を発表

“G-Science” Academies Call for Action to Strengthen Global Disaster Resilience, Understand and Protect the Brain, and Nurture Future Scientists

本文:

2016年4月19日付け全米科学・工学・医学アカデミーによる標記報道発表の概要は、以下のとおりである。

G7サミット参加国の科学アカデミーと関係7科学アカデミー(Gサイエンス学術会議(注))は、5月に日本で開催される予定のG7サミットの議論に貢献するため、脳科学、災害対策、未来の科学者育成に関する3件の共同声明を発表し、それぞれの国の政府に提言を行った。これらの共同声明は、サミット開催国である日本の日本学術会議が中心となってとりまとめられた。

今回の共同声明への参加アカデミーは、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、南アフリカ、トルコ、英国および米国の各科学アカデミーならびにアフリカ全域をカバーするアフリカ科学アカデミーである。

各共同声明の要旨は、次のとおり。

● 脳科学に関する共同声明
脳科学の重要性を指摘した上で次の事項を提言。
・国際協力の下での基礎研究の促進
・脳疾患に関する診断、予防および治療に関する国際的なプログラムの発足
・脳に関する理論的研究の推進と脳を基盤とする人口知能(AI)の開発
・脳神経科学と社会科学・行動科学の統合

● 災害対策に関する共同声明
世界中で発生している自然災害や技術的災害による被害の深刻さを指摘した上で、災害に対応する力(レジリエンス)の強化を図るため、次の事項を提言。
・災害発生の可能性、災害に対する脆弱性およびレジリエンスを評価するための計測手法と指標の開発
・科学技術的知見の進歩および関連データ基盤の構築を含む災害リスク評価の改善
・新技術の開発と効果的・革新的技術の防災への活用による自然災害や人為的災害に関する理解の増進
・主要な国際的研究プラットフォームを通しての専門分野内外の研究協力の推進
・投資家コミュニティの関与の促進
・情報共有の促進

● 未来の科学者育成に関する共同声明
科学に支えられた発見、技術および政策に社会が大きく依存していることから将来世代の科学者育成が重要であると指摘した上で、科学者と社会の連携強化と多様な全地球的科学者共同体の創出を図るため、次の事項を提言。
・科学教育の推進
・博士課程学生およびポスドクのキャリア形成支援
・科学者評価の適正化
・科学に関する社会とのコミュニケーションの促進
・科学者による政策への貢献
・女性と少数グループ出身科学者の勤務条件等の改善
・先進国と開発途上国の協力によるグローバルな科学力の強化
・科学情報へのアクセスを確保するため適切な費用分担による研究成果出版体制の整備

(注)2005年以降毎年サミット参加国および関係国の科学アカデミーは、その年に開催されるサミットに先立って世界的に重要な問題に関する共同声明を発表し、それぞれの政府に提言を行ってきた。2012年以降この活動は「Gサイエンス学術会議」(“G-Science Academies”)と呼ばれるようになった。(典拠:http://www.scj.go.jp/ja/int/index.html(日本学術会議HP))

[DW編集局+JSTワシントン事務所]