[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2016/05/11
抄訳記事公開日:
2016/06/10

研究開発での雇用が過去最高に

Nie gab es mehr Jobs in Forschung und Entwicklung

本文:

連邦閣議が「2016年連邦研究イノベーション報告」を決定し、これについて連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

ドイツにおいて研究開発に従事する人員が初めて60万人を超えた。2016年連邦研究イノベーション報告によると2005年から2014年の間に新しい研究開発ポスト数が4割近く増加した。

同報告によると、連邦政府、産業界、アカデミアはここ数年研究開発費を継続して増加させている。2014年には840億ユーロという新記録を達成した。そのうち2/3強は産業界によるもので。研究開発支出は570億ユーロと最高値となった。連邦政府も研究開発に財政的なプライオイリティを置いており、2014年の連邦政府による研究開発支出は142億ユーロである。2005年は90億ユーロであり、以降、約60%の上昇率となっている。2016年の予算計画によると研究開発支出は158億ユーロの新記録となる。

ヴァンカ大臣は「研究開発において、過去にこれ以上の雇用があったことはなく、これほど高い研究開発投資がなされたこともなかった。この記録的数字は、ドイツがイノベーション拠点として優れた能力と重要性を確立してきたことを示している。しかし国際的な競争相手も同じく成長しており、ドイツがこれからも世界トップの位置を維持していくためにはここ数年のダイナミズムを是非とも維持していかなければならない」と語った。イノベーション拠点にとって重要なのは国民が科学的なテーマに魅力を感じ、技術に対して親しみを感じていることである、と続け、「グローバルな重要課題に対する解決策を見出し、ドイツの競争力を高め、将来の雇用を確保するためにも、研究開発はカギとなるものである」と語った。

EUの総研究開発支出の30%がドイツによって占められている。欧州の最も革新的な10企業のうち5社をドイツの企業が占めている。また世界的に見てもドイツはイノベーション・リーダーの一つに数えられている。このことは例えば科学論文についてみると、ドイツで作成される論文の6報に1つは国際的に最も多く引用されていることからも証明される。研究集約的な製品の輸出においても、ドイツの順位は上昇し、米国を抜き、中国に続いて世界で第2位となっている。
しかしこうした高い数値にも拘わらず、世界の競争圧力は増している。例えば日本では、10年で人口100万人当たりの世界市場的に重要な特許の数は52%増え、ドイツを抜いている。これに対してドイツは既に高い水準にあるとはいえ、同期間で9%の増加に止まっている。国際比較において世界的に強い競争力を長期的に維持していくためには将来的なトレンドや重要課題と取り組んでいくことが不可欠である。そこで決定的なのがデジタル化であり、それは人工知能や人間と機械のインターアクション(HMI)のような応用分野での新しい可能性を切り開き、また減速気味であった中小企業のイノベーションを活性化する。この点に関してBMBFは新しい「10ポイント・プログラム‐中小企業支援」を設定し、中小企業のために必要に応じた助成策を講じている。

連邦研究イノベーション報告は二年に一度作成され、ドイツにおける研究・イノベーション政策のプライオリティ、目標、構造を提示し、国際的に見たドイツの研究・イノベーションシステムを示している。同時に連邦政府はこの報告によって研究イノベーション専門委員会(EFI)が2月提示した勧告内容に答えるものである。

[DW編集局]