[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2016/05/04
抄訳記事公開日:
2016/06/21

ビッグデータの功罪に関する報告

Big Risks, Big Opportunities: the Intersection of Big Data and Civil Rights

本文:

2016年5月4日付のホワイトハウス発表で示されたビッグデータに関する報告の概要は以下のとおり。

技術が進歩し経済、社会、市民生活がますます電子情報化するに連れて、我々は非常に重大な倫理的問題に直面している。ビッグデータとその関連技術は、これまでの前提を見直し、代わってデータに基づく判断という新しい膨大な機会を創出する。ビッグデータは適正に利用されれば、長年にわたる偏見を是正し差別を根絶する手段となりえる。

ビッグデータの時代はまたリスクに満ちている。データを情報に変換するアルゴリズム・システムは完全無欠ではなく、不完全な入力、ロジック、確率、そしてそれらを設計する人間に依存している。周到な注意を払わなければ、これらのイノベーションが差別を固定化し、偏見を拡大し、機会を塞いでしまう可能性が十分にある。

上記のように技術イノベーションは大きな機会と大きなリスクの両方をもたらす。このような重要課題への迅速な取り組みとその進展を図るべく、ホワイトハウスは「ビッグデータ」に関する報告書をいくつか出している。前回報告書のテーマは、プライバシー、市場価格、消費者保護の法制を含むデータ解析に関するものであった。今回のビッグデータに関する報告では、アルゴリズム・システム、機会創出、公民権に重点を置いている。報告では信用貸付、雇用、高等教育、刑事司法といったケーススタディを用いて、ビッグデータ技術を偏見の検出や差別の防止に活用する方法について説明している。また、技術によって故意または不注意による差別の長期化、悪化、隠蔽の可能性があるなど、関連のリスクについても述べている。

本報告書では、データと倫理というこの新たな分野における作業の進展を図るべく、多数の提言が行われている。その中には、研究投資、技術的リーダーシップの拡大と多様化、クロス・トレーニング、データ判別に関するリテラシーの拡大、説明責任の強化、政府や民間セクター内で使用する基準の作成などがある。またコンピュータ・サイエンスやデータ・サイエンスのプログラムや専門家も要請している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]