[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国民教育・高等教育・研究省(MENESR)
元記事公開日:
2016/06/09
抄訳記事公開日:
2016/07/29

「高等教育・研究の現状」2016年版の発表

Publication de l'édition 2016 de l'état de l'enseignement supérieur et de la recherche

本文:

国民教育・高等教育・研究省は2016年6月9日付で標記文書を公表した。本文書中の特に研究の現状を記述した部分から、その概要を抜粋・要約して以下に記す。

フランスの国内研究開発支出(DIRD)は2013年に475億ユーロに達し、国内総生産の2.24%を占めた。イスラエル(4.2%)、韓国(4.1%)、日本(3.5%)、ドイツ(2.9%)、米国(2.7%)の後塵を拝しているが、英国(1.6%)よりは上位にいる。2014年のDIRDは480億ユーロ(国内総生産の2.26%)に達した。

企業の研究努力が特に顕著で、2013年はフランス全土で実施された研究開発の65%を実施しており、その支出額は308億ユーロとなっている。企業は研究開発の59%の資金を出している。公的セクターの国内研究開発支出は2013年は168億ユーロで、多くは研究機関(55%)によるものであるが、高等教育機関(40%)の割合も十分大きい。中小企業はDIRDの17%を占めるが、半分以上がサービス業務に関するものである。DIRDの57%を担う大企業は、高・中度技術に関する取り組みの4分の3を実現している。また国内研究開発企業はその支出の50%以上を6つの研究部門に集中させている。「自動車産業」、「航空宇宙産業」、「製薬業」、「科学技術専門事業」、「情報処理・情報サービス事業」、「化学工業」の6部門である。一方で、企業は新素材、ナノテクノロジー、電子情報技術、バイオテクノロジー、環境などの分野横断的領域にDIRDのかなりの部分を充てている。

企業は上記のような研究努力に対して、直接支援、民事または軍事領域での公的機関との協力、研究費税額控除(CIR)などの税制措置、イノベーション新興企業(JEI)資格付与を通して、国の支援を受けている。2013年は企業の研究開発業務の8%が公的資金の支援を受けており、CIRによる債務額は57億ユーロに達している。地方自治体も特に不動産取引や技術移転の資金支援など研究の取り組みに参画しており、2014年の地方自治体の研究・技術移転予算は13億ユーロと見積もられている。

研究者と研究支援要員合わせて2013年に研究開発に携わった人員総数は約575,300人で、フルタイム換算では418,000人強になる。2008年から2013年にかけて、研究者の数は急速に伸び(+16.9%)、フルタイム換算で266,200人に達した。この伸びは政府機関(+5%)より企業(+26%)のほうが大きい。

2014年にフランスは科学発表論文の世界シェアで世界第6位にランクされており、シェアは3.3%を達成している。後続の発表論文における2年間の引用シェアは3.75%である。この2つの比率は2001年以降落ちているが、これは特に国際科学界に中国、インド、ブラジルなどの新興国が登場したことによる。それでもフランスは数学に特化すると卓越している。

2013年にフランスは欧州特許制度の下で世界第4位(出願特許の6.3%)にランクされ、米国特許制度の下で世界第7位(交付特許の2.1%)にランクされている。専門分野としては、「輸送」、「ナノテクノロジー・微細構造」、「精密有機化学」、「薬品」などがある。両制度の下でのフランスの世界シェアは、2000年代半ば以降中国、韓国などの新興国の参入により後退している。

[DW編集局+JSTパリ事務所]