[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立保健医学研究所(INSERM)
元記事公開日:
2016/06/30
抄訳記事公開日:
2016/08/18

ゲノム編集技術 CRISPR-Cas9 の倫理的課題

Les enjeux éthiques de la technologie CRISPR-Cas9

本文:

国立保健医学研究所(INSERM)の2016年6月30日付標記報道発表の概要は以下のとおり。

INSERMの倫理委員会が取り組む問題の一つにゲノム編集技術”CRISPR-Cas9″の問題がある。同委員会はINSERMが差し当たり次のような原則を採用するよう提言している。

・治療に応用する場合(生殖細胞や胚も対象とする)の効果とリスクのバランスをケース・バイ・ケースで見極めることが可能な実験モデルを用い、CRISPR技術及び最近発表されたその他のゲノム編集技術の有効性と安全性の評価を目的とする研究を推進すること。このような知見は、今後ヒトの治療への適用を認める場合の条件設定に必要不可欠である。
・遺伝子誘導の潜在的に望ましくない影響については、研究室外で利用する場合はいかなる場合でも、他の遺伝子組み換えですでに実施されている隔離規準に従って、事前に評価を受ける必要がある。このような分析や複数シナリオの策定は、複数分野のチーム構成で当たる必要がある。
・ヒトの生殖を目的とした胚の核ゲノムのいかなる修正も禁止という要件を遵守すること。またリスクに関わる不確実性について明確な評価がなされていない等の段階では、法的条件のいかなる変更要求にも与しないこと。
・研究の自由及び医療倫理の問題を扱う国または国際的イニシアティブには、当該分野の技術開発に影響力のある新興国によるものも含め、広く参画すること。
・人間は唯一不変の生物であるという考え方で生命体の柔軟性を縛ってしまうという、より哲学的な問題への注意を喚起すること。

[DW編集局+JSTパリ事務所]