[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2016/08/18
抄訳記事公開日:
2016/10/03

データフローを停滞させないために

Damit der Datenfluss nicht ins Stocken gerät

本文:

ドイツは全欧バイオ情報基盤整備計画(ELIXIR)に参加することとなり、これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

高度に発達したコンピュータ技術の出現はライフサイエンスを根本から変化させた。いまではヒトゲノムの配列決定に見られるように、大量のデータを短期間のうちに収集できる。こうした増加するデータ量をスマートにリンクしたり利用できれば科学社会にとって大きなチャンスとなる。同時にビッグ・データの存在は研究者たちに新しく、かつ重要な課題を突き付けている、例えば異質のデータ・パッケージをどのようにすれば有意義に管理し評価できるのか、自分の研究室にデータ分析のための適切なITシステムがないとき、いかにするのか、内容の安全性をどのようにして守るのか、等である。

2016年8月、ドイツはライフサイエンスに関するデータおよび情報の欧州研究インフラELIXIRに加盟した。上記の課題に対する解決策をもたらしてくれることが期待されている。欧州およびイスラエルの計19か国に分散するネットワークで、データの調整、統合および維持、産学ためのインフラとサービスの提供を目標としている。

BMBFはELIXIRへの加盟によりドイツのライフサイエンス研究を二重の視点から強化する。即ち国際的な結びつきによりドイツ研究拠点の認知度と競争力を向上させること。さらに欧州の管理機関に参加することに伴い、自らの利益を代表し、欧州情報インフラの形成に関与できる可能性を開くことである。ヴァンカ大臣によれば「ライフサイエンスにおけるビッグ・データの利用改善は将来のドイツの保健システムを強化するのに大きく寄与することになる。生物医学研究のデータをこれまでより以上に賢くかつ有効に相互に結び付けることができれば、疾病のための新薬および新治療法の開発を決定的に加速することになる」。

欧州はビッグ・データの分析に当たりELIXIRに参加する研究者を支援する。ELIXIRのトップであるBlomberg氏は「このネットワークはライフサイエンス分野の様々なデータの収集、その品質の確保、大量データの保管等を調整するのに役立つものである。これは優れたネットワークなしには不可能であり、非常に重要である。」と語り、ELIXIRがなければデータの流れが停滞してしまうということである。

ELIXIRは管理および技術のセンターとしての役割を有する中心的ハブから構成され、これが加盟各国のノードを調整する。ドイツにおいてはNBI(バイオIT‐インフラ‐ドイツネットワーク)が国レベルのELIXIRノードの役割を担う。BMBFは2015年のNBIネットワークの立ち上げにより、ドイツのELIXIR加盟の礎石を築いたことになる。

[DW編集局]