[本文]

国・地域名:
デンマーク
元記事の言語:
英語
公開機関:
デンマーク科学技術イノベーション庁
元記事公開日:
2016/08/29
抄訳記事公開日:
2016/10/07

コペンハーゲンにESSデータセンターが開所

Pivotal data centre opens in Copenhagen

本文:

デンマーク科学技術イノベーション省の2016年8月29日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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世界最先端の中性子拡散施設、「欧州核破砕中性子源(European Spallation Source:ESS)」の建設がスウェーデンで進められているが、その一方で、2016年8月26日、このESSで生成されるすべての研究データを処理するデータセンターがデンマークで正式に開所した。

Ulla Tørnæs高等教育・科学大臣は、これはデンマークの研究界にとって記念すべき日であると話し、データセンターの開所を歓迎した。ESSは、デンマーク周辺では初めての大規模な国際研究施設となる。ESS自体はスウェーデンのルンドに設立されるが、そのデータセンターである、ESSデータマネジメントアンドソフトウェアセンター(Data Management and Software Center:DMSC)が、コペンハーゲン大学の協力を得てデンマークにオープンした。DMSCは、実験から得られた研究データの保存、処理、分析を任されており、実験に携わる研究者らを支援する。また、ESS独自の重要な研究にとってのデンマークにおける拠点にもなりうる。

ESSでは約500人のスタッフが雇用される予定であり、DMSCも向こう数年間で急速に拡大し、2020年代半ばにはコペンハーゲン・バイオサイエンス・パーク(Copenhagen Bio Science Park:COBIS)で約65人のスタッフを雇用することが見込まれている。スウェーデン・ルンドにあるESSは簡単に説明すると、「試験材料物質上で放出される大量の中性子を観察できる極めて高性能な顕微鏡」ということになる。中性子がどう拡散するかを記録することで、試験材料物質中の原子および分子、その位置や相互作用を解明することができ、これによりESSは、単純な結晶から大きなたんぱく質に至るまで、物質の正確な構造的「イメージ」の把握ができるようになる。

ESSという世界的な先進施設がオーレスン(Øresund)地域に設立されることで、デンマークの企業や研究者にとっては、またとない機会が生まれる。ESSは、特に材料技術や生物科学分野の企業や研究者をオーレスン地域やスウェーデン、デンマークに誘致することになると期待されている。

[JSTパリ事務所]