[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2016/08/09
抄訳記事公開日:
2016/10/14

科学への全般的な支援と特定科学分野の問題に対する姿勢は必ずしも相関しない

General Support for Science Does Not Always Correlate With Attitudes Toward Specific Science Issues, Says New Report; Offers Conceptual Framework for Science Literacy Research

本文:

2016年8月9日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。

NASEMの最近の報告によれば、米国の成人は大方の科学知識の量において他の経済先進国の成人と同等であり、一般的に科学を支持している。しかしながら気候変動や遺伝子工学などの特定の問題に対する姿勢は、科学そのものの知識というより価値観や信念のような要因で形成されている可能性がある。一般的な想定とは異なり、科学リテラシーの向上が科学に対するより大きな支援に役立っているわけではないことを、本調査報告は示している。

本調査委員会は、科学知識は科学リテラシーの一要素でしかなく、科学リテラシーには仮説の組み立てと試験などの科学的実践の理解、またピアレビューの役割など社会的プロセスとしての科学の理解も含まれる、と述べている。

地域社会は特定の目標達成に際し、各個人の多様な知識とスキルを活用することで科学リテラシーを発揮できる。さらに地域社会の活動における取り組み(科学者との協働作業を伴うことが多い)を通して、地域社会は科学知識に対する意味のある貢献を行うことが可能である、と報告書は述べている。

報告書はまた、経済的資源が限られ質の高い教育を受ける機会も限られている個人の場合には、科学リテラシーや健康リテラシーを育む機会は殆どない、と述べている。このような機会の欠如が、英語を第2言語として話すラテンアメリカ系住民等、アフリカ系アメリカ人、低所得家庭で育った子供などの一部人口層に偏った影響を与えている。

報告書では、科学リテラシーの新たな測定法の創案等に関する問題について、次のような事項を明確にする研究調査を提示している。

1) 科学知識と科学に対する姿勢との間の関係
2) 多様な状況下での科学リテラシーの活用方法および測定方法
3) 科学リテラシーと他のリテラシー・スキルとの関係
4) 意思決定者たる市民にとっての科学リテラシーの役割

[DW編集局+JSTワシントン事務所]