[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2016/10/17
抄訳記事公開日:
2016/10/28

バイデン副大統領主導の国を挙げてのがん対策計画でさらなるデータ共有を提唱

Biden’s moonshot cancer plan calls for more data sharing

本文:

2016年10月17日付の米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は以下のとおりである。

バイデン副大統領は10月17日、今後5か年に亘ってがん対策の成果を倍増させる構想を発表した。これには多数の政策提言のほか、(今後さらなるファンディングを必要とする)国立がん研究所(NCI)およびその他の連邦政府機関による一連のプロジェクトが含まれている。

バイデン副大統領の要求リストは多岐にわたり、患者による自身の医療データの管理権限の向上や、抗がん剤の価格設定に関する「全米規模の対話」の開始などが含まれている。また、NCIでは、よりハイリスクな研究に対するファンディングのほか、最先端科学や公衆衛生上の主要課題に重点的に取り組むため、NCIにおける所内研究プログラムの改善も検討対象としている。

バイデン副大統領の下、連邦政府横断型の作業部会が作成した29ページの報告書では、これまで各省庁で実施された内容に加えて、5つの戦略目標への対処計画を列挙している。
・第1の目標「新たな科学的ブレイクスルーの促進」には、NCIブルー・リボン・パネルが先月提言した10の研究領域と「合致」する数項目が含まれる。例えば、がんになる可能性のある細胞内の変化を早期検出するための新たなイメージング技術の開発を目的とする国防総省の取り組みが記述されている。
・第2の目標「データ能力の解放」では、今年立ち上げられたNCIの「ゲノムデータ共有圏」を評価している。これは多数の患者からのがん研究データを単一のデータベースに集積するものである。国防総省(DOD)、NCI、復員軍人援護局による新たな取り組みでは、数千人もの腫瘍の遺伝子およびタンパク質発現の特徴を記録する。
・第3の目標は、患者に新たな治療法をもたらすもので、臨床試験の向上と記録の増強を図る複数のプロジェクトで構成される。例えばNCIは、患者によりわかりやすいがん臨床試験のデータベースを作成している。作業部会ではまた、試験方式を拡張して同一の対照群に対して別々の治療群で異なる薬剤を試験する方式を考えている。
・第4の目標は、特定のがんを予防するヒト乳頭腫ウィルス・ワクチンの使用拡大である。
・第5の目標は、がん検診や臨床試験に関して十分なサービスを享受していない人々向けの教育の拡大である。

オバマ大統領はこの国を挙げての取り組みの実施に7億5,500万ドルを要求しており、その中にはNCI向けの6億8,000万ドルが含まれる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]