[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
共同研究センター(JRC)
元記事公開日:
2016/09/19
抄訳記事公開日:
2016/11/07

既存のエネルギー設備のアップグレードで、サブサハラアフリカ1,540万人への電力供給が可能に

Sub-Saharan Africa: existing energy infrastructure upgrade can bring electricity to 15.4 m people

本文:

欧州委員会共同研究センター(JRC)の2016年9月19日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
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2016年9月19日付『Nature Energy』誌に掲載された欧州委員会共同研究センター(JRC)の論文によると、サブサハラアフリカ地域で十分に利用もしくは開発されていない既存のエネルギーインフラを改修することにより、持続可能なかたちで生成された電力を1,540万人の人々に確実に供給可能であるという。1.1GWの追加電力を得るには、10~15億ユーロの投資が必要となるが、投資家にとっては低コスト・低リスクの機会になると述べている。

論文の見解は、既存のインフラを明らかにするというアプローチに基づいている。つまりこうしたインフラへの投資は一部すでに行われており、また、技師や管理者が働いているという点で人材確保もなされている。著者らは独自の多層的空間分析を行い、衛星からの夜景画像を処理して、各地のミニグリッドを特定した。

この結果、1) 水力発電施設に転換可能な非発電用ダム、2) 太陽光発電システムを統合可能な各地のミニグリッド、および 3) バイオマス(サトウキビの搾りかすであるバガスを利用)の単独燃焼もしくは石炭との混合燃焼が可能な石炭火力発電所という3通りのインフラのカテゴリーを示したマップが作成された。モーリシャスは、バガスの混焼を行っている興味深い例の一つであるが、この島国では供給電力の約半分が精糖所に由来しており、この電力のほぼ半分が作期に収穫されたサトウキビの搾りかすから生成されている。残りの電力は石炭から生成されており、オフシーズンに燃焼される。

サブサハラアフリカ地域の既存インフラを改修することで恩恵を受けると予想される人々の数は、電力供給を受けていない人々全体のわずか2~3%だが、このようなアプローチにより、民間部門による再生可能エネルギーへの投資を促す弾みとなるようなプロジェクトが明らかになるとしている。

JRCは、サブサハラアフリカ地域のエネルギー貧困を解消するための研究に積極的に力を入れている。「欧州・アフリカにおける再生可能エネルギーのマッピングとモニタリング」プロジェクトでは、アフリカにおける再生可能エネルギーの潜在性をマッピングし、低コストのオプションを示した。またアフリカ再生可能エネルギー技術プラットフォームは、再生可能エネルギーに取り組むアフリカの研究機関による広範なネットワークを構築することで、アフリカの学会や政策決定機関の参加も促している。

[JSTパリ事務所]