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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2016/09/19
- 抄訳記事公開日:
- 2016/11/09
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蘆煜明、薛其坤教授、第1回「未来科学大賞」を受賞
- 本文:
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2016年9月19日付の「中国科学報」ネット版は、「蘆煜明、薛其坤教授、第1回『未来科学大賞』を受賞」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
9月19日、中国初の民間科学大賞である第1回「未来科学大賞」の受賞者が北京で正式に発表された。清華大学の薛其坤教授、香港中文大学の蘆煜明教授が「物質科学賞」、「生命科学賞」を受賞した。
「未来科学大賞」は中国大陸初の科学者・企業家が共同で発起した民間科学賞として、現在、「生命科学」と「物質科学」という2つの大賞が設けられており、賞金はそれぞれ100万ドルである。同賞は科学者による著しい貢献のあった業績を表彰、多くの若者が科学研究に従事することを促進し、世界で大きな影響力を持つ科学大賞となることを目的としている。
「未来科学大賞」も中国民間版ノーベル賞と呼ばれ、大中華区の科学発展に傑出貢献をした科学者(国籍限らず)を奨励し、ノーベル賞、チューリング賞(※1)のような評価メカニズムを持っている。審査員は9名の華人科学者(中国科学院物理研究所・丁洪氏、シカゴ大学・何川氏、プリンストン大学・李凱氏、北京大学饒毅氏、北京大学兼プリンストン大学・田剛氏、北京生命科学研究所・王暁東氏、MIT・文小刚氏、南方科技大学兼ノースウエスタン大学・夏志宏氏、ハーバード大学・謝暁亮氏)から構成される。
分子線エピタキシー(MBE)法は基板に照射して基板に1層ずつ単結晶を積み上げ、単結晶薄膜として生長させる技術である。「物質科学賞」受賞者の薛其坤教授は分子線エピタキシー(MBE)技術による奇異な量子現象の研究においてブレークスルーを遂げ、2012年に複数の高品質の単結晶薄膜を生成し、初めて量子異常ホール(Quantum Anomalous Hall Effect, QAHE)と単一層鉄系(FeSe)高温超伝導体現象を発見した。
「生命科学賞」受賞者である蘆煜明教授は、胎児・セルフリーDNAの特性の研究により胎児・セルフリーDNAを用いて遺伝子病を診断する可能性と有効性を証明した。同研究成果は次世代シーケンシングによりダウン症候群(※2)の新たな診断手法の発見をもたらし、世界90余りの国で応用された。
※1 チューリング賞は米国コンピューター学会が毎年授与する、計算機科学分野で顕著な業績を上げた人物を称える世界最高の権威賞である。
※2 ダウン症候群は体細胞の21番染色体が1本余分に存在し、計3本持つことによって発症、先天性の疾患群として新生児に最も多い遺伝子疾患である。 [JST北京事務所]