教育省（DfE）の2016年9月7日付発表では、”Universities UK”の2016年次総会におけるジョー・ジョンソン（Jo Johnson）大学・科学担当大臣の講演内容を報じている。概要は以下のとおり。

英国の教育制度は、英国経済の未来と繁栄の基盤をなし、英国のグローバルな競争力を維持するネットワーク、アイデア、イノベーションを創造している。したがって高等教育が、DfEの業務と、ビジネス・エネルギー・産業戦略省（BEIS）が主導する新産業戦略の双方の中核をなし、社会的モビリティや学力向上などの問題に対して統一のアプローチを形成することは当然である。

英国の大学は、世界トップレベルの教育および生活を一変させるような研究の両方の本拠地であり、長い間ずっとそうであった。このような高水準を維持するために、学生局（Office for Students）と英国研究イノベーション（UK Research and Innovation: UKRI）は、高等教育セクター全般および個々の研究教育機関双方の包括的視点に立って協力する必要がある。この種の協力は、研究による学位授与、知識交流のファンディングや活動、高等教育プロバイダの財政的持続可能性の問題など、多様な領域で不可欠になってくる。統一のアプローチにより、研究と教育の連携、社会的経済的効果を促進する機関横断的な事業が、政策に適切に反映されるようになる。

Brexitは一大変革であるが、英国はすでに、「英国の高等教育セクターは依然として広く門戸を開いている」との強いメッセージを出している。第1に、EUからの学生に対する貸付関連の規則に変更はなく、引き続き有効であることを迅速かつ明確に保証した。現在、学生ローン・カンパニー（Student Loans Company）から貸付金や助成金の受給資格を有するEUの学生は、現行のコースおよびこの秋に開始するコースについても継続して受ける資格を有する。

英国がEU加盟国である間に欧州委員会の研究ファンディング（Horizon 2020など）を競争的に獲得した大学は、そのプロジェクトが英国のEU離脱後に継続する場合であっても、財務省の保証のもとに助成金の支払いを受けることができる。また農業環境計画など秋の予算編成方針（Autumn Statement）以前に認可された欧州構造・投資基金のプロジェクトはすべて、そのプロジェクトがEU離脱後に継続する場合であっても、最後までファンディングが実施される。

英国の大学には、世界中の最も優秀な学生を引き続き招き入れて、これらの留学生が、英国での自らの勉学により成果を得て、国内の学生の知識体験にも好影響を及ぼし、英国経済の強化に貢献し、世界との有益かつ持続的な橋渡しをすることを希望している。

同時に政府は、純移住者数を持続可能なレベルまで引き下げる努力も行っている。その一環で出入国管理制度では、不法滞在者を減らし、英国に多大な貢献ができる人々のみが英国滞在の延長ができるようにしようとしている。英国はその出入国管理制度において不法滞在を一掃する必要がある。質が低い或いは偽りの学生は、英国の学究生活にも研究エコシステムにも役に立たない。

偽学生に対する英国の対応は、英国の高等教育セクターの名声維持にも関わるものである。質の低下はこの偉大なセクターのブランドを傷つけるだけに留まらず、社会的モビリティを後退させるほか、特に恵まれない環境にある若年者の潜在能力を実現する妨げになったり、そのような若年者が大学での体験を通じて得るあらゆる恩恵の獲得を阻むことになる。

2016年の入学データによると、恵まれない環境出身の18歳の応募比率がかつてないほどに高く、大学入試機関（UCAS）の2015年入学期のデータではそのようなグループの進学に好ましい伸びが見られる。”Office for Fair Access（OFFA）”では、このような学生の進学・学業成績の向上を図る施策に7億4,500万ポンド強を支出する予定の大学と、2016～2017年の期間に183件のアクセス協定を結んでいる。

[DW編集局]