ベルリンにおいて欧州のプロジェクトSecure Networking for Data Center Cloud in Europe（SENDATE） がスタートし、これに関して連邦教育研究省（BMBF）は概略下記のような報道発表を行った。

10月17日にスタートするプロジェクトSENDATEの目標は通信やクラウドを基盤としたサービスへのアクセス速度を速めることにある。このためスウェーデン、フランス、フィンランド、ドイツは共同で、地域データセンターの開設を可能にする技術を開発する。これまでのところデータセンターははるかに遠い欧州外の国々に置かれることが多く、その長い距離のためにデータの伝送が困難になっている。

ヴァンカ大臣はプロジェクトの開始に当たり、「未来のインターネットのため、欧州のデジタル主権のために、データはもう地球の半分を移動することなく、短い距離でより安全で安定したものを提供したい」と語った。

現在、E-Mail、SNS、ビデオ・チャットなどの多くのインターネットアプリケーション、さらには企業のクラウド・サービスまでも、その最も重要なコントロール・センターを形成しているのはわずかな数の大規模データセンターである。これに対し、プロジェクトで目標としているインフラは、個人あるいはビジネスユーザーのために空間的に近い所でデータを処理することができるというもの。これによってインターネットアプリケーションのレスポンスがはるかに迅速になる。またローカルなデータセンターは、ユーザーデータのルーティングおよび処理が欧州内で行われることを確保する。機密性の高いデータはこれによってより良く保護される。データの安全な暗号化に関する革新的な手法に焦点が当てられる。それには量子コンピュータからの攻撃にも対応できる暗号化方式あるいはトランスミッション・シグナルの歪が含まれる。

SENDATEのスタートに当たり関係全4か国の企業および研究機関がベルリンに集結。プロジェクトにはシステム・メーカーと並び、ユーザー、クラウド・サービス提供者、中小企業等が参加する。新技術により、自社に十分整ったITインフラを持たないことが多い小企業がクラウドの利点を完全に利用できることになる。2020年からSENTATEの成果は5Gネットワークの拡充にも利用される。

欧州の企業および加盟国は合計7,300万ユーロをこのプロジェクトに投入する。BMBFは今後3年間にドイツのプロジェクト・パートナーの活動に2,000万ユーロを投資する。SENDATEは連邦政府のITセキュリティ研究プログラムにより、またEUREKA研究イニシアチブの枠組みの中で助成される。

[DW編集局]