[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2016/10/19
抄訳記事公開日:
2016/12/22

農産食糧供給の安全確保に昆虫を活用

DARPA Enlists Insects to Protect Agricultural Food Supply

本文:

2016年10月19日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は以下のとおりである。

DARPAの新規プログラムでは、単一生育期間内に成熟した作物の安全確保の為に標的型遺伝子治療法を活用することで、農業上の脅威に対する従来の対処法に代わる手段の提供を狙う。DARPAは、組み換え済みの遺伝子を作物に転移する場合に、自然にある非常に効率の良い2段階配送システム(昆虫ベクターとそれが伝染させる植物ウィルス)の活用を提案している。このプロセスにおいてDARPAは害虫を「益虫」に転換することを狙う。昆虫は作物を食べて、大半の植物ウィルスを伝染させる。DARPAの計画ではこの自然のシステムの力を活用する。つまり昆虫が運ぶ植物ウィルス内の遺伝子を操作して、標的とする作物に防御特性を与える。

上記「益虫」に関する3つの技術的領域(防御特性の設計、昆虫ベクターの最適化、成熟作物の選択的遺伝子治療)が一体となって、自然または意図的な農業崩壊に対して防御できるように、(大規模なインフラを必要とせずに)成熟作物に迅速に変更を加えるという目標を支援する。本プログラムの下で開発される基盤的知識および一般化可能な手段が、今後の農業イノベーションを支えることになる。

作物を防御する既存の最も効果的な方法の一つである病害耐性の選抜育種では、通常明らかに防御特性を持つ遺伝子の特定作業に5~7年を要し、望ましい特性を作物群全体に増殖させるにはさらに10年以上かかる。上記「益虫」プログラムでは単一生育期間内での狙った特性の発現達成を狙う。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]