2016年10月21日付のホワイトハウス発表の標記に関するファクトシートの概要は、以下のとおりである。

過去数年にわたって民間企業、政府省庁、大学研究者および国立研究所は、重さが1オンス（28.4グラム）から数百ポンド（1ポンド＝454グラム）の範囲にある小型の人工衛星（スモールサット（smallsats））およびスモールサット衛星コンステレーション（互いに協調する多数個のスモールサットから構成されるネットワーク）が商業・民生・安全保障にとって有用であることを示してきた。

これまでの人工衛星は大型で、ときには数万ポンドの重量とスクールバスと同程度の大きさを持ち、その製造、打ち上げ、運用に1基当たり数億ドルもの資金が必要となるため、過去50年間においては、人工衛星を運用できる組織は政府と大企業に限られていた。

近年におけるスモールサットの出現がこのような状況を大きく変えた。電子工学および通信技術の進歩により、スモールサットおよびスモールサットの配置が従来の人工衛星システムに比してほんの少しのコストと製造期間で利用可能となりつつある。

このような状況を踏まえて、本日ホワイトハウス科学技術政策局（OSTP）は「小型衛星革命活用」イニシアチブ（”Harnessing the Small Satellite Revolution” initiative）を発表した。米国航空宇宙局（NASA）、国防総省、商務省等の連邦政府省庁とともに検討した結果、OSTPは、官民による宇宙利用・探査のための小型衛星の利用を推進・支援する上で各省庁における次の取り組みの重要性を確認し、スモールサット技術の開発や利用におけるイノベーションの促進に向けて各省庁とさらに取り組んでいくとしている。

●　NASAは、スモールサットによって得られたデータの購入を支援するために最大3,000万ドルの予算（内最大2,500万ドルは非政府小型宇宙船コンステレーションにより取得されたデータの購入支援に、500万ドルは小型宇宙船コンステレーションに関する技術開発に充てられる）を提案する予定である。NASAは、近い将来中分解能地上画像（moderate-resolution land imaging）データ、電波掩蔽（えんぺい）観測（radio occultation）データといった地球科学観測データを外部から購入する方針である。また、NASAは、宇宙ミッションの包括的見直しを行い、スモールサット技術を利用することによって、より効果的に取り組める科学と探査の課題について明らかにするとしている。

●　NASAは、2017年の初めにシリコンバレー中心部にあるエイムズ研究センター（Ames Research Center）に小型宇宙船仮想研究所（Small Spacecraft Virtual Institute）を創設する予定である。この仮想研究所は、急速に拡大する小型宇宙船に関する技術的知識の「ワンストップ・ショップ」（one-stop shop）として機能するであろう。

●　国家地球空間情報局（National Geospatial-Intelligence Agency (NGA)）は、地球低軌道上に画像撮影用スモールサット衛星配置を展開しつつあるスタートアップ企業であるプラネット社と2,000万ドルの契約を締結した。これによりNGAは、15日毎に全陸地の85%以上の画像をプラネット社から入手できるようになる。これらの画像は、環境モニタリング、高解像度撮影、変化検出、インテリジェンス活動等に利用できる。

●　NGAは、連邦調達庁（General Services Administration）と協力して「運用に即応する地理空間情報購入に関する商業イニシアチブ」（Commercial Initiative to Buy Operationally Responsive GEOINT (CIBORG)）と呼ばれる効率的な画像データ等の購入手続きの具体化に取り組んでいる。

●　商務省は、宇宙商業室（Office of Space Commerce）の役割を拡大し、経済成長・生産性向上・雇用創出の牽引力として重要性が増している商業宇宙に対応する。

●　9月、海洋大気局（NOAA）は、商業的気象データパイロットプログラム（Commercial Weather Data Pilot program）（民間衛星により取得されたデータがNOAAの天気予報と気象警報に利用可能であることの確認プログラム）の最初の契約を2社のスモールサットコンステレーション運用企業と締結した。

●　情報高等研究計画活動（Intelligence Advanced Research Projects Activity）は、上空から撮影された画像の解析にブレークスルーをもたらすことを目的とした2件の賞金付きチャレンジ（競争イベント）を実施することとし、その一環として衛星データセットを公開する。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]