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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 大統領府
- 元記事公開日:
- 2016/10/31
- 抄訳記事公開日:
- 2017/01/04
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大統領諮問機関に半導体ワーキング・グループが始動
- 本文:
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2016年10月31日付のホワイトハウスの標記発表の概要は以下のとおりである。
大統領科学技術諮問会議(PCAST)はこのほど、米国の経済・安全保障に利益をもたらすような方法で米国半導体産業の強化に焦点を当てたワーキング・グループを新設する旨発表した。
半導体は、携帯電話や自動車から医療診断、偵察衛星、兵器システムに至るまで、現代生活の多くの側面で不可欠である。半導体産業は25万人の労働者を直接雇用し、米国第3の製造品輸出源であり、研究開発に対する投資も販売に対する割合としては最高のレベルにある。さらに半導体産業は米国経済の事実上どのセクターでもイノベーションを可能にする基盤的技術を創出する。半導体のイノベーションや製造において主導権を失うと、米国経済に対して、また国家安全保障に対してさえも重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
サプライチェーンがグローバルな世界では、他国が追求する政策が米国の半導体産業に新たな課題を課している。特にこの分野で重要な一部の国は、自国の半導体産業に助成金を払って支援したり、市場へのアクセスと引き換えに技術や知的財産権の暗黙の移転を要求したりする。このような政策は過剰生産やダンピングにつながり、米国の民間セクターの研究開発意欲を減退させる可能性があり、その結果、半導体イノベーションの速度や経済・安全保障上の利益実現を遅らせる可能性がある。
半導体産業はまた技術的・経済的変曲点に近づきつつある。半導体技術の現在商業化されている方式に基づけば、「ムーアの法則」(18~24か月ごとにチップの処理性能が倍増する)でいう進歩のペースを継続することは間もなく不可能になる。実際、従来型の高性能チップの設計・製造コストは指数関数的に上昇していることから、すでにイノベーションが難しくしてなっており、新市場創出に必要な起業や大学研究による新しいアイデアはなおさら困難になっている。
半導体の価格や性能の向上に関する過去の目覚ましいペースとそれによる利益の誘導を今後も続けるのであれば、研究開発へのさらなる官・民投資が必要なことはほとんど間違いない。この研究開発は、今日の技術の限界を超えて飛躍が可能な新技術の創造であり、全く新しいコンピュータ・アーキテクチャの開発であり、それらを(自動車やモバイル・アプリケーションなど)従来のコンピューティング環境をはるかに超えるシステムに組み込むことであると考えられる。
PCASTの新規ワーキングループでは、内外の半導体産業が直面する中核的な課題を特定し、米国がリーダーシップを維持するための重要な機会を特定する。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]