[本文]
-
- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
- 元記事公開日:
- 2016/11/11
- 抄訳記事公開日:
- 2017/01/25
-
クラークBEIS大臣のエネルギー・イノベーションに関する講演
- 本文:
-
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の2016年11月11日付標記発表は、グレッグ・クラーク(Greg Clark)BEIS大臣の”Energy UK”年次総会での講演内容を報じている。主としてエネルギー・イノベーションについて述べているので、その概要を以下に記す。
我々は低炭素でかつ極力安価なエネルギーを必要としている。多数の低炭素技術の進歩がみられるにもかかわらず、まだ完璧な回答は得られていない。安価でクリーンなエネルギーという目標に向かってイノベーションを確実に前進させる必要がある。
そのため、このたび首相の下に政府主席科学顧問のマーク・ウォルポート(Mark Walport)卿を委員長とするエネルギー・イノベーション委員会(Energy Innovation Board)を設置した。本委員会は政府ファンディングによるエネルギー・イノベーションの多様な任務をすべて一体化したものである。
現行のエネルギー・システムの規則・規制は、電力を大規模な発電所から長距離の送電線を通じて国民の家庭や企業に届ける目的で設定されている。それらはきちんと機能してきたが、新技術では次のようなモデルに挑戦しようとしている。
・各家庭や各企業は今や、各々ソーラーパネルなどの技術を用いた独自の発電を行うミニ発電所である。
・電気自動車の展開で、大気の質の向上に役立つこの傾向が促進され、一方では電力網のバランスを保つ新たな能力を提供できる可能性がある。
・蓄電技術の進歩により、電力網のより効率的、より安価な管理が可能となり、経費負担の大きい発電所や送電線が必要となるのを回避できる。
・情報技術の向上により、エネルギー消費者は機器の電源切断操作の自動化に同意することで電力網のバランス維持に貢献でき、それによって自身の電力料金もシステム全体のコストも削減できる。
・上記技術は新規のビジネス、企業モデル、新たな消費形態、および新規市場の機会を創出する。同時に、ソーラーや風力などの断続的エネルギー技術が、エネルギー・システムに対する新たなチャレンジを生んでいる。その影響についての懸念の多くは誇張である。英国は今や電力の14%を断続的エネルギー源から得ており、それでも英国の電力供給は欧州で最も高い信頼性を保っている。しかしこの断続的エネルギーにはある程度の付加コストがかかることは認識する必要がある。したがって政府や規制機関の課題は、真にスマートなエネルギー・システムを創出するべく、断続的エネルギーの適正な管理、および、蓄電、需要サイドの対応、相互接続、ITにおけるイノベーションの活用の両方を可能とするシステムを設計することにある。第1段階では目的に合うハードウェアを整備し、2020年までに各家庭や中小企業に新しいスマートメーターを設置する。これによって2020年までに電気料金は平均11ポンド節減され、2030年までには約50ポンドの節減になる。さらなるイノベーションによって真のスマートシステムが実現すれば、消費者は今後数十年間に最大400億ポンドを節減できる可能性がある。
[DW編集局]