[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2016/12/20
抄訳記事公開日:
2017/02/08

国家の災害に対する備え、防災およびレジリエンスに貢献する科学技術

Science and Technology in Service of National Disaster Preparedness, Reduction, and Resilience

本文:

2016年12月20日付のホワイトハウスによる標記報道発表の概要は、以下のとおりである。

2016年12月20日、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)ならびに国家科学技術会議(National Science and Technology Council(NSTC))の環境・天然資源・持続可能性委員会(Committee on Environment, Natural Resources, and Sustainability)および国土・国家安全保障委員会(Committee on Homeland and National Security)は、今後起こり得る災害(人為的災害を含む)に対する国家的備えおよび対応力(レジリエンス)の改善に資する次の3件の文書を発表した。

(1)国家的備え関連科学技術タスクフォース(National Preparedness Science and Technology Task Force)報告:「国家的備えのための科学技術上の課題について」(Identifying Science and Technology Opportunities for National Preparedness)
(2)「国家的重要インフラのセキュリティとレジリエンスに関する研究開発プラン実施ロードマップ」(Implementation Roadmap for the Critical Infrastructure Security and Resilience Research and Development Plan)
(3)「国土生物テロ防衛に関する科学技術能力レビュー」(Homeland Biodefense Science and Technology Capability Review)

これらの文書は、災害に対する国家的備えの改善に取り組んでいる科学者および技術者ならびに研究開発の計画作成と優先度の判断に当たる政府の行政官その他の意思決定者に対して重要な洞察を提供するものであり、安全、セキュリティ、備えおよびレジリエンスに対する国を挙げての取組みに重要な貢献をするものである。

これらの文書の概要は、それぞれ以下のとおりである。

(1)国家的備え関連科学技術タスクフォース報告:「国家的備えのための科学技術上の課題について」

この報告は、NSTC環境・天然資源・持続可能性委員会の防災小委員会(Subcommittee on Disaster Reduction)が設置した上記タスクフォースにより作成された。このタスクフォースは、連邦政府省庁の科学技術コミュニティと国家的備え関係者のコミュニティとが一緒になって、国家的に備えるという見地から科学技術上の優先課題の明確化に取り組んでもらうために設置されたものである。

この報告は、国家的備え関係者のコミュニティにとって価値のある進歩をもたらす有望な科学技術分野として次の分野を取り上げている。
・ 警報と助言に関するコミュニケーション
・ 危険に関する基本的な理解
・ 災害事象の特性とリスクの評価
・ 観測、モデル化およびデータ管理
・ より安全な対応と復旧のための技術
・ 備えに関する意思決定への科学の統合

(2)「国家的重要インフラのセキュリティとレジリエンスに関する研究開発プラン実施ロードマップ」

このロードマップは、昨年(2015年)発表された「国家的重要インフラのセキュリティおよびレジリエンスに関する研究開発プラン」を実施するため、NSTC国土・国家安全保障委員会の重要インフラセキュリティ・レジリエンス小委員会(Critical Infrastructure Security and Resilience Subcommittee)により作成された。

このロードマップは、異常気象により電力送電網が被害を受けるといったリスクやテロによって連鎖的に多くの分野に被害が及ぶといったリスクに瀕している国家的重要インフラのセキュリティとレジリエンスを強化するために複数省庁が取り組むべき研究開発活動を5つの科学技術挑戦分野に整理して記述している。

関係省庁は、このロードマップにより研究開発に関する投資判断に必要な情報を得るとともに進捗状況の管理を行うことになるだろう。

(3)「国土生物テロ防衛に関する科学技術能力レビュー」

このレビュー報告は、人もしくは動物の健康を害することを目的として生物剤が意図的に利用されるような事態が発生したときに反撃し、対応するための国家の能力を向上させる上で鍵となる科学技術上のニーズを明らかにするため、NSTC国土・国家安全保障委員会の生物兵器防衛研究開発小委員会(Biological Defense Research and Development Subcommittee)により作成されたものである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]