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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 報道センター
- 元記事公開日:
- 2017/01/12
- 抄訳記事公開日:
- 2017/02/13
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欧州議会法務委員会がロボット工学に関するEUレベルの規則を要請
- 本文:
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報道センターの2017年1月12日付のニュースで、標記の記事が掲載されている。以下にその概要をまとめる。
===2017年1月12日、欧州議会法務委員会は、急速に進展するロボット工学に関するEUのルールを定めるべきであるとの報告書を発表し、倫理基準の順守や無人自動車による事故の責任などの問題に対応するよう欧州委員会に要請した。
欧州議会の議員らは、ロボット工学や人工知能の経済的可能性をフルに活用しながら、安全性やセキュリティの標準的なレベルを確保するには、EU全域のルールが必要であることを強調している。報告書では、規制基準に関して、第三国が定めた基準を強いられることのないようEUが主導的役割を担わなくてはならないとしている。
議員らは欧州委員会に対し、技術、倫理、規制に関する専門知識を公的機関に提供するためのロボット工学および人工知能に関する欧州機関の創設を検討するよう求めている。
議員らはまた、社会、環境および人の健康にロボット工学が及ぼす影響に関して誰が責任を負うかを規定する自主的な倫理行動規範を策定するよう提案し、ロボット工学が法律や安全、倫理面での基準に従って機能するべきだと述べている。例えば、緊急時に電源が切れるような「キルスイッチ」をロボットに装備するような規範を推奨している。
特に、自動運転車に関しては協調的なルールをすぐにでも定める必要があると述べ、強制保険や、無人自動車が事故を起こした場合に被害者を全面的に補償するための資金を定めるよう求めている。
さらに、長期的には、被害が発生した場合の責任を明確にするために、最先端の自律ロボットについて「電子人間」という具体的な法的身分を定める可能性も検討しなければならなくなるだろうと述べている。
報告書は、ロボット工学の発展が特定の分野における雇用の創出や喪失など、大きな社会的変化も招く可能性があることを指摘し、欧州委員会に対し、新しい雇用モデルの検討や、現行の税制および社会制度をロボット工学に適用できるかどうかを含め、こうした動向を注意深く見守っていくよう促している。
今回の法律案は、欧州委員会に対して立法上の提案を示すよう促すもので、義務ではないが、欧州委員会がこれを拒否する場合は、その理由を明確にしなければならない。
提出された草案は欧州議会で本年2月に採決される予定で、承認には過半数の賛成が必要となる。
[JSTパリ事務所]