[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/01/31
抄訳記事公開日:
2017/03/13

主要な科学者グループが移民関連大統領令の取り消しを要請

Leading Scientific Groups Urge Trump to Rescind Immigration Order

本文:

2017年1月31日付の米国科学振興協会(AAAS)による標記に関する発表の概要は以下のとおりである。

米国の主要な科学・技術・学術機関は、トランプ大統領に対し、1月27日に発行された移民および旅券に関する大統領令が、科学の進展、イノベーション、そして米国の科学技術の能力に害を及ぼすものとして、その取り消しを要請した。

1月31日に164の科学技術・学術機関が署名してトランプ大統領に送った共同書簡では次のように述べられている。「科学の発展は、開放性、透明性、自由なアイデアの流れに依存しており、米国は、これらの原則のおかげで、国際的に有能な科学者を引き付け、多大な恩恵を受けて来た。アポロ計画や深宇宙の探索から、疾病治療のための生物医学研究や繁栄するハイテク産業を支える科学の利用に至るまで、米国は科学、教育、イノベーションにおいて世界のリーダーだと見做されている。大統領令は、多くの国際的に有能な留学生および科学者が米国で研究したり、学術会議や学会に出席したり、米国で新たなビジネスを構築しようとすることを妨げるものである。本政策の実施は、国際的に有能な科学者を引きつけ、科学的・経済的リーダーシップを維持するための米国の能力を損なうものである。」

同書簡に対する科学、工学、教育関連の学協会や大学による署名の増加は、大統領令がいかに米国の科学技術活動を害するのかという懸念の大きさを表している。大統領令が科学者の目的地としての米国という国家の魅力を低下させ、米国の大学・研究機関で教育を受けようとする何千人もの留学生を落胆させている。

大統領令では、イラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンからの学生や科学者を含む非米国市民に対して90日間、難民に対して120日間の入国禁止措置を命じている。これに対して164の科学技術・学術機関は同書簡において「この大統領令が、米国の科学技術を停滞させ、米国並びに米国人に損害を与えるだろう。科学知識とイノベーションを進展させる上で世界のリーダーであり続けるためには、国際的かつ多文化的環境下において米国の科学技術活動が行われなければならない。」と述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]