[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/02/07
抄訳記事公開日:
2017/03/24

AAASのラッシュ・ホルトCEOが議会下院聴聞会で科学的公正性の重要性を強調

AAAS CEO Champions the Merit of Scientific Integrity in House Testimony

本文:

2月7日の連邦議会下院聴聞会おいてAAAS(全米科学振興協会)のラッシュ・ホルト(Rush Holt)CEOは、科学の実践を妨げるような公共政策的取組みは、世界中の優秀な研究者にとって米国を魅力ないものとし、米国の科学の進歩を妨げると述べ、科学的プロセスの公正性を強く擁護した。

本聴聞会は、共和党のラマー・スミス(Lamar Smith)が議長を務める下院科学委員会の本年の最初の委員会である。ここでは、主にスミスが最近概説した法案が優先的に取り上げられており、過去2回、下院では承認されたが、上院では承認されなかった2法案も含まれている。この法案のうちの一つは「秘密科学改革法案(Secret Science Reform Act)」であり、これはEPA(環境保護庁)が環境規制を策定する際に活用する科学的データの種類に制限を設けたり、またオンライン上で公開されていなかったり、透明性がなかったり、複製不可のデータについて省庁の利用を認めないというものである。

これに対して、ホルトは複数の視点から論点を検証することで科学は進歩してきており、そのプロセスの制限は科学の進展を遅らせるものであると述べた。また、子供や森林生態系を対象とした長期的研究データを例に、長期間に収集されたデータは常に変化しており、簡単には複製できないと指摘した。

もう一つの法案である「EPA科学諮問委員会改革法(EPA Science Advisory Board Reform Act)」は、EPAの科学諮問委員会の仕組みを見直し、財政的に利害関係のある産業界の科学者に対して、それらの利害が公開されるのであれば、門戸を開くことを可能にするものである。また、委員会を構成する独立した立場で参加する科学者が自身の研究について委員会で議論することを禁止している。

これに対して、ホルトは科学の進展は、開放性、透明性、アイデアと人々の自由な流れに依存しており、科学的発見は反発される懸念がないようになされ、脅迫や不当威圧のない雰囲気で行わなければならないと述べた。また、政策立案者は科学研究の結果に口をはさんではならず、関連する科学研究および法令のレビューに基づき政策を立案すべきであると言った。そして、科学的プロセスの公正性は維持されねばならず、この原則により米国は有能な科学者を引き付けることができ、それらの才能から大きな富を得ていると締めくくった。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]