[本文]
-
- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国防高等研究計画局(DARPA)
- 元記事公開日:
- 2017/02/07
- 抄訳記事公開日:
- 2017/03/27
-
電磁波による信号伝達が生体内で果たす役割とは?
RadioBio: What role does electromagnetic signaling have in biological systems?
- 本文:
-
2017年2月7日付の国防総省国防高等研究計画局(DARPA)による標記報道発表の概要は、以下のとおりである。
何10年もの間、科学者たちは電磁波が細胞内あるいは細胞間の信号伝達に何らかの役割を果たしている可能性について考えてきた。当時はまだその確認に必要な再現可能な実験技術や手段がなかったが、近年における技術とモデル化手法の進歩の結果、今やこの仮説を実験的に検証できる可能性が出てきた。
本日発表されたRadioBioプログラムは、電磁波によって生体細胞間で何らかの目的のある信号伝達が行われているか否か、そしてもしもそうであるのなら、いかなる情報が伝達されているのかを明らかにしようとするものである。電磁波による生体内信号伝達仮説の正しさ確認の成否は、自然が作り出した微細なアンテナが騒々しい環境の中でどのようにして情報をやりとりするのかを理解できるか否かにかかっている。
DARPAのプログラムマネジャーであるマイク・フィディ(Mike Fiddy)は、次のように語った。
・ 電磁波がイオンに富んだ水溶液の中を通って意味のある信号をやりとりしているか否かを確認することは、重要な挑戦である。
・ そのような信号伝達が実際に起きていることを立証できた場合は、次のステップとして信号伝達の仕組み解明に取り組むことになろう。
・ このプログラムによって得られる知見は、将来、生物学のみならず、小さなアンテナの設計や乱雑な電磁的環境内における通信システムのイノベーションに役立つ様々な技術に結び付く可能性がある。
・ RadioBioプログラムは基礎的な研究に取り組むものである。たとえこのプログラムによって電磁波による細胞間信号伝達の存在が明らかになったとしても、その応用は何年も先のことになるだろう。このプログラムは、各24ヶ月の2つの段階から構成される。第1段階では電磁波による信号伝達経路のモデルを理論的に構築してシミュレーションを行い、理論的に得られた予測を実験的に検証することが求められる。第2段階の目標は、第1段階でモデル化された信号伝達経路を再現・確認・実証するためのテストベッドを開発し、その設計原理を明らかにすることである。
フィディは、さらに次のように語った。
・ このプログラムの最重要な挑戦の一つは、アンテナとして機能する生物学的構造体の特性を表す理論的・数値的モデルを開発することである。
・ このため、RadioBioプログラムはアンテナ設計、理論生物学、構造生物学、生化学その他の分野の専門家を求める。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]