[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2017/01/23
抄訳記事公開日:
2017/03/28

王立協会が政府の産業戦略(グリーンペーパー)を歓迎

Royal Society response to Industrial Strategy

本文:

王立協会の2017年1月23日付標記発表では、同日公表された産業戦略のグリーンペーパー「Building our Industrial Strategy 」に対する王立協会会長のコメントを掲載したところ、概要は以下のとおり。

王立協会のヴェンキ・ラマクリシュナン(Venki Ramakrishnan)会長は「政府は産業戦略の中核に科学・イノベーションを位置付けることで、明確に英国の国力強化に重点を置いている。英国には英国全土の大学、研究機関、および企業で行われている優れた科学・イノベーションがあり、それらの機関と連携することで、政府は生産性の向上を牽引し、国民生活の向上に資することができる」と述べた。

王立協会はまた、産業戦略において技術的能力が重視されていることも歓迎している。「英国は世界経済で成功していくため、より賢明になる必要がある。従来の大学課程に加えて、国民が賃金の高い職種に必要とされる技術的能力を身に着け、雇用者が必要とする高度の技術を有する要員を獲得できるように、質の高い技術教育が不可欠である。そのような技術的能力者の供給ルートが機能するようにするには、学校制度にも目を向ける必要がある。政府はすべての若年者が18歳までの広範な教育の一環で科学や数学の能力を習得できるようにする必要がある」とラマクリシュナン会長は述べている。

産業戦略では、英国がすでに強い多数の分野のほか、クリーン・エネルギー(戦略の柱の1つ)、ロボティクス、人工知能(AI)など大きな可能性を秘めた領域を特定している。「エネルギー貯蔵は、再生可能エネルギー資源の急速な展開を最大限活用するために重要となるので、注視されているのは喜ばしいことである。これは産業界のニーズと研究の専門知識がマッチングしうる実際的な例である。産学連携の強化および知的財産の実用化に際してのベストプラクティスの共有・特定が、産業戦略の成功にとって不可欠である。また機械学習やAIも英国が顕著な技術的能力を有している領域であり、公共サービスの効率改善など公的に有効活用が可能である」とラマクリシュナン会長は述べている。

産業戦略チャレンジ基金の創設は、層の厚い英国研究の卓越性を活用して実業界と科学界との間の先駆的協力を促進するのに良い機会となる。「最近のサイバーセキュリティに関する報告書(サイバーセキュリティ国家戦略)で提言されたチャレンジ主導型方式は、革新的な研究・イノベーションの成果を触発し、官・民研究機関の間の新規で持続的な提携関係を促進し、経済成長をもたらす可能性を有する。米国の国防高等研究計画局(DARPA)のプログラムなど諸外国の経験に学ぶ事が重要である」とラマクリシュナン会長は述べている。

上記のほか、王立協会は、輸送やブロードバンドのインフラに対する投資増の発表も歓迎している。

[DW編集局]