[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/02/15
抄訳記事公開日:
2017/03/30

技術工学の専門分野と雇用に関する認識向上を求める報告書

New Report Examines Role of Engineering Technology, Calls for Increased Awareness of Field of Study and Employment

本文:

2017年2月15日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。

技術工学(ET)分野に従事する労働者は米国の技術インフラおよび米国のイノベーション能力の支援に重要な役割を果たしているが、ETが米国における専門分野または雇用のカテゴリーであることの認識は乏しい、と全米工学アカデミーの最近の報告書は述べている。

従来の工学と技術工学との間には多くの類似点がある。しかし比較する場合に技師(engineer)は国の技術システムの設計を担当している人達だと見なされるとすれば、工学系の技術者(technician)や科学技術者(technologist)はそのようなシステムの運用の構築・維持を支えている人達である。米国では2014年に4年制の工学士が約9万4,000人に、4年制の技術工学(ET)士が約1万8,000人に、2年制の技術工学(ET)士が3万4,000人以上となっている。

連邦政府の雇用データでは技術者と科学技術者の業務をひとまとめにして分類しているが、上記報告書ではこれをETまたはその他分野の4年制学位取得者(科学技術者)とETまたはその他分野の2年制学位取得者(技術者)とに分けている。2013年には約40万人がETで雇用されており、その80%が工学系技術者(engineering technician)として仕事に従事している。

調査を実施して報告書を作成した委員会は技術者および科学技術者の雇用者に対する調査を行い、その結果約250名の回答者のうち30%がET教育について聞いたことがないことが判明した。さらに回答者の3分の1が、技師が遂行する業務と科学技術者が遂行する業務との違いを知らないと言っている。大学等において、2年制および4年制のETプログラムのリーダーらは中等教育修了後の工学教育のリーダーらとともに、工学の異型としての両者間の類似点・違いやお互いの補完関係についての議論に取り組む必要があり、一方では多様な学生層の利益に供する必要がある、と報告書は述べている。ET教育界は、K-12(幼稚園から高校3年まで)の教師、生徒、両親のほか雇用者に対して当該分野の価値をより明確にする方法を考慮する必要がある。

委員会がET労働力の需要と供給を調査した結果、技術者または科学技術者の不足または剰余を明確に示すものはなかった。しかしながら、だからといって特定地域での市場不均衡の可能性を除外するものではなく、工学システムの新たな発展によって米国が市場で競争するためには、新たなスキルが必要になることを委員会は認識している。

国立科学財団(NSF)はETにおける入学、在学、卒業に影響を及ぼす要因の研究に対するファンディングを検討すべきである、と報告書は述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]