[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2017/03/01
抄訳記事公開日:
2017/04/14

3つのホルムホルツ研究所新設

Drei neue Helmholtz-Institute für Gesundheitsforschung gegründet

本文:

ヘルムホルツドイツ研究センターに健康分野の3研究所が新設されることとなり、これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

ドイツにおける健康研究は3つのヘルムホルツ研究所の新設により強化されることになる。がん免疫治療、代謝研究、感染研究の領域で、それぞれ大学1校とヘルムホルツセンター一つが協力するという計画について国際的な専門家による審議会がその傑出した科学的な質の高さを認め、その創設を推奨している。ラッヘルBMBF政務次官はヘルムホルツ協会のこの決断を歓迎し、「3研究所の新設によりドイツは健康研究に関する重要なイノベーション拠点を得ることになる」と語った。

ここ数年、研究者は、がん細胞がどのようなメカニズムによって身体独自の免疫システムから防御しているかを明らかにして来た。ラッヘル次官によると、「マインツの新ヘルムホルツ・トランスレーショナル・オンコロジー研究所によってがん免疫療法分野における国際的にも指導的なセンターが生まれることになり、将来は腫瘍治療における中心的な役割を果たすことになるであろう」。このためドイツがん研究センター(DKFZ)はヨハネス・グーテンベルク大学マインツおよびマインツ医科大学と共に戦略的パートナーシップを形成する。

ブラウンシュバイクのヘルムホルツ感染症研究センターはヴュルツブルク大学と共にヘルムホルツにRNAベースの感染症研究所を設立。DNAと類似の構成であるRNA(リボ核酸)は体内におけるタンパク質の生産において中心的な役割を持っている。RNAに基づく特定のコントロール・メカニズムは感染症の経過に決定的な影響を与えることが最近ますます明らかになっている。RNA分子はこのため個別化診断の理想的な候補となっている。ヴュルツブルクを本拠とするヘルムホルツRNAベース感染症研究所は感染症への理解を深めることに貢献し、感染症との闘いにおいて大きな進歩を可能としている。ラッヘル次官によれば、「同研究所はその科学的、国際的に研究をリードし、かつ高度に革新的であり、世界的に類例を見ないものである」。

ミュンヘン・ヘルムホルツセンター(HMGU)とライプツィヒ大学は共同でライプツィヒにヘルムホルツメタボリック肥満症血管研究所(HI-MAG)を立ち上げる。同研究所はこれまで未解決の問題である肥満、新陳代謝疾患、血管系疾患の相互作用と取り組む。ヘルムホルツセンターの糖尿病および新陳代謝疾患領域における生物医学的基礎研究が肥満症およびその影響に関するライプツィヒ大学の科学的臨床的な専門知識とエクセレンスと組み合わされることになる。肥満においてはホルモンおよび炎症による変化が糖尿病、脂肪肝、高血圧、脳卒中、血管障害、がんの発症の原因になる。HI-MAGにおいては基本的な分子的シグナル回路が解明され、これに基づいて予防および治療の個別的戦略が開発される。ラッヘル次官は、「世界で初めての脂肪組織研究領域における優れた臨床前および臨床研究を体系的に総合化する研究所が設立されることになる」と語った。

上記新設3ヘルムホルツ研究所は2017年から2020年までの立ち上げ段階ではそれぞれの所在の州および参加大学によって資金負担されるが、2021年以降は90%の連邦助成によるヘルムホルツ協会のプログラム指向型助成制度へと移行されることになる。完全に確立されたヘルムホルツ研究所1研究所当たりの年間総合予算は550万ユーロとなる。

[DW編集局]