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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2017/02/20
- 抄訳記事公開日:
- 2017/04/17
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2016年度中国科学十大進展の選考結果について
- 本文:
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2017年2月20日付の「中国科学報」ネット版は、「2016年度中国科学十大進展の選考結果について」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
12月20日、科学技術部(MOST)は「2016年度中国科学十大進展」を発表した。「2016年度中国科学十大進展」の選考活動は科学技術部ハイテク研究発展センターによって開催され、これまで12回を実施されている。本選考プログラムは、推薦、予選、最終選考の三段階で構成され、今回推薦された科学進展は2015年12月1日〜2016年11月30日に正式に発表した研究成果である。
2016年度中国科学十大進展は以下の通りである。
1. 二酸化炭素を高効率、クリーンな方法で液体燃料に転化させる新型コバルト電極触媒を開発:中国科学技術大学・合肥マイクロスケール物質科学国家実験室の謝毅、孫永福の課題チームが二酸化炭素を高効率、クリーンな方法で液体燃料に転化させる新型コバルト電極触媒を開発した。本成果は高効率で安定した二酸化炭素電極還元触媒の取得及び電極触媒による二酸化炭素還元メカニズムの研究に重要な意義を持っている。
2. 石炭ガス化により直接アルケン生成の方法を開発:中国科学院大連化学物理研究所の包信和、潘秀蓮研究チームが石炭ガス化によりアルケンの直接生成の方法を開発した。同研究は、原理的なブレークスルーとして工業における強大な工業競争力をもたらし、石炭転化分野での重要な一里塚である。
3. 水稲収量性質雑種優勢の分子遺伝メカニズムを解明:中国科学院上海植物生理生態研究所の韓斌、黄学輝研究チームは中国水稲研究所の楊什華氏と協力し、水稲収量性質雑種優勢の分子遺伝メカニズムを解明した。同研究成果は高効率な交雑マッチングを最適化させ、収量と質が高く、ストレス耐性を持つ交雑品種を快速に獲得できる。
4.コレステロール代謝・調整制御に基づき腫瘍免疫治療の新たな方法を提出:中国科学院上海生物科学と細胞生物学研究所の許琛琦、李伯良のチームは、新たな視点からT細胞の腫瘍免疫応答の研究を展開し、コレステロール代謝・調整制御に基づき腫瘍免疫治療の新たな方法を提出した。同研究成果は腫瘍免疫治療の新たな分野を切り開き、代謝・調整制御の鍵となる作用を証明し、腫瘍の免疫治療に新構想と新方法を提供する。
5.RNAスプライシングのキーとなる分子メカニズムを解明:清華大学生命科学学院の施一公実験室が分子レベルからスプライソソームに転写されたRNAスプライシングの重要な分子メカニズムを解明し、RNAスプライシングの基礎研究分野の発展を推進する。
6.精子RNAを記憶のキャリアーとして性的性状の隔世遺伝を発見:中国科学院動物研究所周琪、段恩奎の研究チームは中国科学院上海栄養研究所の翟琦巍研究員と協力し、精子RNAを記憶のキャリアーとして性的性状の隔世遺伝を発見した。同研究は初めて精子RNAの視点から性的性状の隔世遺伝の研究に新たな視野を切り開き、精子tsRNAsを新たな父性遺伝因子とすることを提出し、先天性代謝疾患の隔世遺伝を発見した。
7.世界初の安定かつ制御可能な単分子スイッチを開発:北京大学北京分子科学国家実験室の郭雪峰研究チームは電子学部の徐洪起研究チーム、ペンシルベニア大学のAbraham Nitzan氏らと協力し、機能分子工学による中国で世界初の安定かつ制御可能な単分子スイッチを開発した。本単分子スイッチは高精度スイッチ、安定性、再現性を持っている。
8.世界初で人間以外の霊長類自閉症モデルを構築:中国科学院上海神経科学研究所の仇子龍、孫強研究チームが世界で始めてヒト自閉症ゲノムMECP2を持つ遺伝子組み換えサルのモデルを構築し、自閉症病理の研究及び可能な治療方法の探求に大きく貢献した。
9.胚発生の過程における重要信号ルートのエピジェネティクス調整・制御メカニズムを解明:中国科学院上海生物化学と細胞生物学研究所の徐国良研究チームは米国ウィスコンシン大学孫欣、北京大学湯富酬らと協力し、新生児の先天性欠損がおこるメカニズムと予防に注目し、初めて系統的に胚発生の過程における重要信号ルートのエピジェネティクス調整制御メカニズムを解明し、発育生物学の基本原理に新たな認識をもたらした。
10.水の核量子効果を解明:北京大学物理学院王恩哥、江頴研究チームは率先して水素結合の量子要素を測定し、初めて原子寸法で水の核量子効果を解明した。本成果は、水と水素結合体系の異常特性の理解に役立つ。
[JST北京事務所]