[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2017/03/15
抄訳記事公開日:
2017/05/09

NSF、北極での長期生態研究拠点設立のため560万ドルを出資

NSF awards $5.6 million to establish new arctic Long-Term Ecological Research site

本文:

2017年3月15日付の国立科学財団(NSF)の標記発表の概要は以下のとおりである。

国立科学財団(NSF)は、アラスカ北部沿岸に長期生態研究(LTER)拠点を設立するために、5年間で560万ドルの助成金を出資する。この拠点は、さまざまな時間スケールで北極の沿岸生態系を形成する陸と海の相互作用についての研究を目的としている。

ボーフォート海ラグーンにあるLTERサイトの研究者は、大規模な沿岸漁業と150種以上の渡り鳥や水鳥を支える食物網の研究を予定している。アラスカ北部沿岸の長期的な変化は、すでにラグーンに生息する魚や他の生物に影響を与えており、今後もその変化は継続すると考えられている。LTERの研究チームは、イヌピアットを含む地域社会のメンバーや北極野生生物保護区を管理する米国魚類野生生物局と連携して研究に取り組む。

「このLTERプロジェクトには、北極の沿岸生態系機能の中心である海岸線の浸食、流域流出、海氷ダイナミクスなどのプロセスの研究が含まれている。このLTERの重要な側面は、これらの生態系の包括的な理解を深めるために、科学者とボーフォート海岸のイヌピアットの住民が連携することである。」とNSFの北極観測ネットワークプログラムのディレクター、ウィリアム・アンブローズ氏は述べている。

LTERプロジェクトには、氷に覆われた期間、氷が崩壊する期間、氷のない期間のフィールドワークが含まれる。研究者は、生物地球化学的な側面を中心とした水系の状況を継続的に測定するためのセンサーを導入する。さらに、自然の気候サイクルが北極の沿岸生態系にどのように影響するのか、永久凍土層の解凍、降水量の変化、海氷の被覆の変化、その他北極の気候変動の影響がそれらの生態系をどのように変化させるかを追跡する。

LTERの研究は、将来の沿岸生態系への変化(つまり、狩猟や漁業を通じた自給自足の生活のためにラグーンや沿岸漁業に依存するイヌピアットコミュニティに影響を与える要素)を予測するための枠組みを作り出すのに役立つ。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]