[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2017/03/16
抄訳記事公開日:
2017/05/10

DARPAがトランジスターの未探索研究領域を切り開く

Bushwhacking into Unexplored Transistor Territories

本文:

2017年3月16日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。

DARPAは、より能力の高い無線周波数技術を確立するために、次世代の半導体材料の開発と革新的なトランジスタ設計を行う新プロジェクトを開始する。20世紀半ばにマイクロエレクトロニクスが登場して以来、その処理速度、電力効率、計算能力は絶え間なく進歩している。しかし、この数十年に及ぶ進歩を主導してきた材料科学者、電気技術者、その他の専門家等は、既存と未知の半導体構造の両方において驚異的な技術的革新の機会があると考えている。このため、 DARPAはDREaM(Dynamic Range-enhanced Electronics and Materials)という新たなプログラムを立上げ、通信、無線諜報、電子戦などの防衛関連分野の中心であるRF(無線周波数)およびミリ波信号のトランジスタの研究開発を行うこととした。

DREaMプログラムディレクターであるダン・グリーン(Dan Green)は、以下のように述べている。「50年前にトランジスが発明されて以来、限られた半導体材料に焦点を当て、同種アプローチで研究開発を進めてきた。しかし、 DREaMは、これまでのあり方を再考させ、新たな可能性を生じさせる。IoTと無数の無線通信デバイスが登場するにつれ、RF環境とミリ波環境の関係は複雑化しており、その利用に困難が生じつつある。これまでにない性能を備えたトランジスタは、特に無線通信で重要な周波数において、これらの課題に対する解決策の重要な部分になる可能性がある。」

DREaMプログラムの戦略的課題は、1)信号電力、2)電力効率 3)帯域幅、4)システムの線形性というRFトランシーバの4つの重要な特性間のトレードオフの解消にある。 DREaMプログラムの目標は、DREaMトランジスタが最小限の電力消費で、大規模で複雑なRF信号の送受信を小型パッケージで実現することである。

DREaMプログラムは、これらの技術目標を達成するために、相互補完できる2つの方向性で研究開発を進める。 1つの方向性は、既知の材料より劣化しにくく、より多くの電荷および電圧に対応できる新しい材料の探索であり、もう1つの方向性は、幅広い信号周波数帯域におけるトランジスタの直線性に焦点を当てるものである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]