[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2017/03/17
抄訳記事公開日:
2017/05/12

DARPAが動物磁気の活用を目指す

Taking Animal Magnetism to the Extreme

本文:

2017年3月17日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記記事の概要は以下のとおりである。

DARPAは、微弱な磁場の検出能力を強化することで、生物学的イメージングや磁気ナビゲーションで活用できるセンサーの開発への道を開くための研究開発プログラムを開始した。

心臓の拍動や脳活動のバーストは、周囲の磁場に微小な波紋を生み出す微量の電気生理学的電流により引き起こされている。この現象は脳磁図(MEG)や心磁図(MCG)のような様々な研究ツールや診断テクニックの基礎となっている。 しかし、この微弱な生体磁場を利用するには、高価な液体ヘリウム冷却が必要な小さな磁界センサーや強力な磁気の力を遮断するハイテクシールド等の大仰で費用のかかる手段が必要となる。

DARPAの新研究開発プログラムであるAtomic Magnetometer for Biological Imaging In Earth’s Native Terrain(AMBIIENT)プログラムは、MEG、MCG、そしてその他の実現が望まれる磁場検知技術の幅広い応用の実現等、磁場検知における新時代の創出を目指している。例えば、脊髄信号検出による脳震盪診断システムや、脳磁気信号を介して義肢や外部機械を制御する脳機械インタフェース(BMI)がこの対象となる。

生体磁場の検知にはいくつかの課題がある。地球そのものが大きな問題であり、その平均磁場は、人体から発する10ピコテスラから10フェムトテスラの磁場より百万〜十億倍も強い。また、超電導量子干渉デバイス(SQUID)等の最先端磁界センサであっても、限られたダイナミックレンジを有しており、強力な遮蔽がなければ生物学的磁気を強大な地磁気の中で観測できない。

AMBIENTプログラムは、遮蔽シールドなしの開放系でピコテスラやフェムトテスラの磁気を検出できる、新しいタイプの磁場勾配計の開発に挑戦する。この実現には、ベースラインに沿って分離された2つのセンサーからの絶対フィールド測定値の差を比較することなく、磁場中の非常に小さな勾配を直接測定するための新しい原子物理技術とアーキテクチャを開発する必要がある。従来は周囲環境下では測定不可能であった磁場測定は、レーザ光の特性の変化を検知することにより実現できる可能性がある。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]