[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2017/03/29
抄訳記事公開日:
2017/05/17

ハイテク戦略に関する報告書「研究とイノベーションによる進歩」

Zukunft made in Germany

本文:

連邦閣議がハイテク戦略に関する報告書「研究とイノベーションによる進歩」を決議。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。

「研究とイノベーションによる進歩」と題する報告書は、連邦政府が研究イノベーション審議会(EFI)が出した2017年度評価報告書に対する意見を述べ、ハイテク戦略の実行状況をレポートしたものである。報告書の中で政府は、プロジェクト助成の補完措置として研究開発への税制控除を検討することにしている。

ヴァンカ大臣は「イノベーションをけん引する輸出大国としてのドイツの強さは決して偶然ではなく、ハイテク戦略の下で10年以上前から一貫して研究とイノベーションを重視する政策を続けてきた結果である」と述べ、「これを維持し拡充していこうとするならば、研究とイノベーションへの投資をさらに強化する必要がある。このため研究開発への支出を2025年までにGDP比3.5%に引き上げることを目標としている。それには追加投資の2/3を産業界に期待する。多くの企業にイノベーション創出を働きかけるために、これまでのプロジェクトファンディングと並び税制控除が必要である」。

今回承認された報告書は、ハイテク戦略が効果を発揮することを証明している。連邦政府はこの10年間で研究開発支出を60%強増加させ、2015年には総研究開発費をGDPの3%にするという目標を達成した。これによりドイツは研究開発支出において世界トップ5に名を連ねている。

色々な指標がこの継続的な支出増加の効果を証明している。過去20年間に、最も産業界の研究開発要員が増加したのは2014年から2015年にかけてである。既に2014年には初めて研究者数が60万以上になり、しかもその半数以上が産業界で占められている。2015年には企業の研究部門に従事する者の数は12%増加し、4万4.000人になっている。未来志向的な雇用の創設であり、ドイツの国際競争力を更に強くするものである。

研究集約的な製品の取引、特許申請数、論文数においてもドイツは国際的にトップの位置に肩を並べている。国際比較調査研究でもドイツのイノベーションが成功していることを証明している。ドイツは既に数年前から欧州委員会のEuropean Innovation Scoreboardイノベーション・リーダーグループに属している。

ドイツはハイテク戦略により、2006年に初めて総合的な研究およびイノベーションに関する戦略を発表することとなった。3期におよぶメルケル政権を通じて、一体となった、信頼性のある研究イノベーション政策を確立することに成功した。今日に至るまでに戦略において連邦政府の研究イノベーション活動を結束させ、ステークホルダーであるアカデミア、産業界、市民社会に共通の目標をもたらした。2014年にスタートした3期目の新ハイテク戦略は6つの優先未来課題を設定した。即ちデジタル経済社会、持続的な経済とエネルギー、革新的労働環境、健康な生活、スマートモビリティ、セキュリティである。同時に、ハイテク戦略の目標は技術的な革新だけではなく、社会的なイノベーション、あるいは市民による新しいイノベーションを共に創出することである。

[DW編集局]