[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
上院商務・科学・運輸委員会
元記事公開日:
2017/04/19
抄訳記事公開日:
2017/06/12

気象研究・予報イノベーション法の制定に関する議会声明

Congressional Statements on Enactment of Weather Research and Forecasting Innovation Act

本文:

2017年4月19日付の上院商務・科学・運輸委員会による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

上下両院においてそれぞれ国立気象局(NWS)に対する立法権を行使する上院商業・科学・運輸委員会および下院科学・宇宙・技術委員会の幹部らは4月19日、2017年気象研究・予報イノベーション法(H.R.353)がトランプ大統領の署名によって成立したという前日の発表に関して各々声明を発表し、いずれも同法の成立を歓迎している。本法には、季節予報の改善、異常気象事象に対する監視および明確な情報提供、ハリケーン追跡に必要な航空機システムの活用、商用データの活用などの、連邦予報の抜本的な改革案が盛り込まれている。

上院は2017年3月29日に修正を伴ったH.R.353を承認している。下院は4月4日にホワイトハウス向けに修正済みの法案を通過させている。

以下は気象研究・予報イノベーション法(H.R.353)の概要である。

・季節予報
米国海洋大気局(NOAA)およびその構成機関である国立気象局(NWS)に対して、有用で信頼性がありタイムリーな季節内および季節予報を作成し、そのような予報の効果を判断するよう指示している。2018年度にNWSに割り当てられる基金から2,650万ドルを認可して、2週間~2年間の期間での有用かつ信頼できる予報の大幅向上に必要な基盤固めの作業を課している。このような予報の向上は、例えば農民がいつ、何を栽培するかの判断に資する。

・予報の広報・伝達
NWSに対して設置されている122の気象予報局の各々に少なくとも1人の職員を警報統括担当の気象予報官として指名するよう要求している。予報担当者が危険な気象事象を正確に予測している場合でも、発生している事象の内容や危機に直面している住民がなすべきことについての広報・伝達が不徹底であると、回避可能なはずの死傷事故や資産の損失が発生する。警報統括担当の気象学者は当該気象予報局が管轄する地域に焦点を絞って、地方当局者やメディア等と協力して緊急連絡の有効性と効果を最大にできるよう努力する。

・竜巻・ハリケーンの予報
異常気象事象の予報の精度向上と新規研究に重点を置く。竜巻の正確な予報と1時間以上の警報の開発・展開に重点を置いた(連邦政府と民間セクター・大学との協力による)竜巻警報の改善・拡大プログラムを設置する。ハリケーンの予報および高潮の通知の改善についても同様の協力プログラムを創設する。

・津波警報
津波検知ネットワークおよび津波に関する研究の取り組みの費用対効果の高い改善策として、商用および連邦政府の通信ケーブルに津波センサーを取り付けることをNOAAに認可する。また「古津波」の調査に対する助成金のファンディングを認める。過去の脅威を理解することで、将来の災害に対してより周到に備えることができる。

・衛星による管理
NOAAの衛星調達については、現存システムと新規追加の場合の全体コストの再検討を要求することで改革を図る。本法ではさらに民間セクターの気象データ提供能力を評価するためにパイロットプログラムの契約を締結するようNOAAに要求している。

・契約に関する情報公開
一部の職員が契約プロセスを悪用して退職後の有利な契約で私腹を肥やしているという懸念に対処する。本法では、正規職員の契約者および以前にNOAAの連邦職員として仕事についていた契約者について、毎年情報を公開するようNOAAに要求している。

・「ハリケーン・ハンター」航空機システムのバックアップ
「ハリケーン・ハンター」航空機システムの能力のバックアップを確立するようNOAAに要求している。

・レーダーによる調査
レーダーのカバー領域から漏れた空白地帯を特定し、公共の安全の向上に必要な追加的な観測域を提言するようNOAAに要求している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]