[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2017/05/16
抄訳記事公開日:
2017/07/06

AIに関する研究の強化

Künstliche Intelligenz richtig erforschen

本文:

連邦教育研究省(BMBF)はAI研究を強化することとし、概略下記のような報道発表を行った。

BMBFはAIに関する研究を強化するため、未来プロジェクト「ラーニング・システム」をスタートさせる。第一ステップとして新たな専門プラットフォームを設け、研究と応用の両サイドの協力を改善し、ラーニング・システムは人間にとってどのように有用となり得るかを解明する。具体的な応用の可能性としては、各種サービスの、輸送、医療技術・看護等の保健分野、自動運転、人間に適さない環境で利用されるロボット、さらにはITセキュリティ等の領域である。

ヴァンカ大臣は「AIは正しく利用されれば、生活を向上させることができる。そのためにラーニング・システムで何ができ、その弱点は何なのかを知らなければならない。いまだ未解決の研究課題がたくさん存在している。このため、倫理的、社会的、法的な観点から技術的発展を理解できるよう、これまでより以上の総合的な研究を必要としている。この判断のためにはより多くの意見交換や対話が必要である。AIは人間を主体として考えなければならない、技術は人間をサポートするべきものであり、疎外すべきものではない」と語った。

BMBFは既存のIndustrie 4.0プラットフォームに加えて、未来プロジェクト「ラーニング・システム」により、デジタル化の更なる重要なテーマに関する第二のプラットフォームを設ける。プラットフォームに参加する専門家にはデータ分析ツール構築開発、日常利用可能な応用シナリオ、デモ器、および産業分野横断的な研究開発を進めることが期待されている。プラットフォームを支援するため事務局を設ける。

ラーニング・システムは、保健領域において、マンモグラフィのレントゲン画像のような大量のデータをより迅速に分析、解析する等の大幅な改善を可能にする。こうした新しい質の高い情報の供給は患者の治療における医療従事者の重要作業の改善に役立つ。同時に患者の個人データのように取り扱いが慎重であるべき場合において、どの程度までラーニング・システムが利用されるべきか、安全に機能できるのかを明確に定義づけなければならない。この場合ITセキュリティが高度のプライオリティを有する。

未来プロジェクト「ラーニング・システム」はハイテクフォーラム「オートノマス・システム(Autonomous Systems)」の研究成果であり、ここ数年出された複数の提言の一つである。将来のイノベーション政策に関するこれらの行動提言等はハイテク戦略に関する最終会議において連邦政府に手渡される。また新プラットフォーム「ラーニング・システム」の管理委員会も組織された。

ドイツはAI、特にラーニング・システムおよびマシン・ラーニングにおいて国際比較でも傑出した位置づけにある。それに大きく貢献したのは基礎研究であり、特にこの点ではドイツAI研究所(DFKI)が挙げられる。DFKIによりドイツは売上および研究要員の点から世界最大のAI研究所を持つことになった。また数多くのスタート・アップが設立され、成功している。自律走行車に関してだけでも、世界の特許のほぼ70%をドイツの企業が所有している。

[DW編集局]