[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/05/24
抄訳記事公開日:
2017/07/11

2018年度研究開発予算でエネルギー、基礎科学、宇宙分野が削減へ

Energy, Basic Science, Some Space Programs Face Big FY18 Budget Cuts

本文:

5月24日付けの米国科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は以下のとおりである。

トランプ政権の予算要求は、連邦の科学技術プログラム、特に基礎および応用研究において歴史的な大幅削減を模索している。この削減により、研究資金は2001年のレベルにまで低下する見込みである。主要科学機関のDOE(エネルギー省)、NSF(国立科学財団)、NASA(米国航空宇宙局)の研究開発予算の詳細は以下のとおりである。

DOE: 基礎研究を担当する科学局(Office of Science)の予算は17.1%の削減となり、先端科学コンピュータ研究(ASCR: Advanced Scientific Computing Research)を除く、基礎エネルギー科学(BES: Basic Energy Sciences)のほとんどの研究分野で予算削減となる。特に、生物・環境研究 (BER: Biological and Environmental Research)の削減率は非常に高い。

応用技術プログラムは、政府の役割の縮小のために産業界との連携を促進に焦点を当てている。エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の廃止が提案されている。国家核安全保障局(NNSA: National Nuclear Security Administration)は、防衛費が要求全体で10%増加することにより若干の予算増加となる。

NSF: 昨年度予算を11%下回る8億1,900万ドルの減少となり、これは800件分の新規研究助成プロジェクトの削減を意味する。大型研究設備として、ソーラーテレスコープ(DKIST)、大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)、地域クラス調査船(RCRV)の建設資金が予算申請されている。教育・人的資源局(EHR)は、13.6%の削減により、研究奨学金の大幅削減が見込まれる。インフレ調整すると、NSFの予算は2002年度の水準まで引き下がり、2007年に制定されたCOMPETES法が目指した、NSFの予算倍増が不可能になった。

NASA: 全体で2.9%の減少であり、 他機関と比べて軽度な削減である。科学ミッション局内では、木星の衛星エウロパへのミッション等で4.5%増額し、合計で4億2500万ドルとなる以外は、ほぼ昨年度と同等もしくは若干の削減となる。NASAの宇宙物理学プログラムは、広域赤外線探査望遠鏡(WFIRST)への資金供給のために8.9%の増加を見込まれる。

オバマ政権の優先事項であった小惑星リダイレクトミッション(ARM)が中止され、代わりに太陽光推進能力の開発が行われる。また、低軌道上の衛星整備を目的としたRESTORE-Lへの資金提供を中止する。NASAの商業有人宇宙船プログラムは、2017年度に比べて、38.2%(4億5300万ドル)の大幅削減が見込まれている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]