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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2017/06/10
- 抄訳記事公開日:
- 2017/08/03
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中国の国際科学技術協力、大きな発展を遂げ
- 本文:
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2017年6月10日付の「中国科学報」ネット版は、「中国の国際科学技術協力、大きな発展を遂げ」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
中国科学者は「地球村」と呼ばれるグローバル時代における発展の潮流に順応し、積極的に国際的な科学技術協力へ参加・推進し、世界の同業者と共同で努力して、世界への認識や知識の獲得に対する自主的な貢献をする。
一、「ビックサイエンス協力」を牽引する
中国は国際科学技術協力・交流において「多大なる力で貢献し、大きな作用を発揮させる」という原則を堅持しており、複数の国際大科学プロジェクトで引き受けた任務を完成し、組織的な牽引における役割を果たしている。例えば、以下の事例が挙げられる。
2012年3月、中国科学院高エネルギー物理学研究所の王貽芳所長は、世界の7カ国地域の40カ所の機関から構成された国際協力研究チームのリーダーとして、広東省大亜湾ニュートリノ実験で新たなニュートリノ震動を発見した。これは中国の最も重要な物理実験結果であると考えられる。2017年4月、中国科学院院士、復旦大学副学長である金力教授ら中国科学者らを含む数百名の世界の科学者が計画策定に参加したヒトフェノミクス研究国際協力計画が始動前の段階に入った。
2003年から中国は世界最大規模の「人工太陽」呼ばれる国際熱核融合実験炉(ITER)計画に参加しており、目下、中国が自主開発したITER向け大型超伝導導体技術体系は国際組織により承認を受け、100%の国産化を果たし、1回の検査ですべて100%合格した。現在、中国は国内核融合工程実験炉の建設を計画し(※)、人類が制御できる核融合、原子力エネルギーの平和的利用における国際ビックサイエンス・プロジェクトにおいて更に大きな役割を発揮し、大いに貢献できるように努力している。
二、三つの時期にわたり絶えず向上発展していく
科学技術分野での国際協力交流は、対外開放の必然的な要求である。新たな自主イノベーションの創出のため、国際科学技術協力を拡大強化し、グローバルの科学技術資源を十分に利用すべきである。中国科学技術情報研究所の程如煙研究員の分析によると、改革開放以来の中国科学技術国際協力・交流の発展過程は以下の三時期に分けられるとのこと。
回復期(1978-1985年):1978年3月、全国科学大会が開催され、「国際科学技術協力と技術交流を強化」、「外国人科学者、エンジニア技術専門家が中国に招かれて学術講演を行う」、「海外駐在機構の科学技術研究調査を強化」等の内容を提出した。この時期、国際科学技術協力の具体的な方針を明確し、科学技術外事業務を調整し、人材導入管理メカニズムを構築して、海外駐在機構の科学技術の研究・調査を強化した。全面発展期(1985-2000年):「1986-2000年科学技術発展計画」を制定し、「国際科学技術協力と技術導入を一層強化」という政策・措置を提出した。同時期、国際科学技術協力政策により更に技術導入業務を規範化し、合弁した研究開発機関の指導・管理を強化し、積極的に国際科学技術組織に加入することを決定し、国際科学技術協力・交流における知的財産権の保護などを規範化させた。
大幅飛躍期(2000年から今まで):「互恵関係によるウィンウィン」、全方位的、広領域、多レベルの国際科学技術協力の展開の政策・方針が確立された。この時期、国際科学技術協力政策は以下の特徴があり、具体的には、国家戦略レベルから国際科学技術協力を推進、国際科学技術協力を強化、国際科学技術協力特定経費を設立、積極的な国際大科学プロジェクトの牽引・組織・参加、開発途上国への技術援助の強化。
三、政府間、民間協力・交流の相互連結
科学技術部国際協力司の葉冬柏司長によると、中国はこれまでに160カ国・地域と科学技術協力関係を築いて、110件以上の政府間科学技術協力協定を締結し、200以上の政府間国際協力組織に参加し、70国・地域の69カ所の海外駐在機関へ科学技術アタッシェ150名ほどを派遣している。中国は世界の主な国・地域とイノベーション対話メカニズム(中国・米国、中国・欧州、中国・ドイツ、中国・フランス、中国・イスラエル、中国・ブラジル、中国・ロシア、中国・カナダ、中国・ベルギー)を構築し、幅広い開発途上国と科学技術パトナーシップ・プロジェクト(中国・アフリカ、中国・アセアン、中国・南アジア、上海協力機構諸国、ラテンアメリカ諸国、アラブ諸国)を締結し、世界的にも広範な形を実現した。2017年も、中国はイギリス、イタリア、イスラエル等の諸国と国別協力戦略を制定し、「第3回中国・欧州イノベーション協力対話」、「第2回中国・フランスイノベーション対話」、「中国、ドイツ工業4.0とのマッチング」、「中国ハイテク区、イタリア産業とのマッチング」等のイベントが開催される見込みである。中国は積極的にこれまでの国際科学技術協力・交流のプラットフォームを開拓・利用し、新たなプラットフォームの構築を目指している。2017年5月、北京で開催された「一帯一路」国際協力サミットフォーラムでは、中国は「一帯一路」科学技術イノベーション行動計画の始動を発表した。同計画によると、中国は科学技術人文交流、共同実験室の共同建設、科学技術パークの協力、技術移転という4項目の行動を展開予定で、今後5年間、延べ人数で2500人に対して、中国での短期科学技術研究の実施を準備し、延べ人数で5000人の科学技術・管理人材を育成し、50カ所の共同実験室を投入・運営する見込みである。また、デジタルエコノミー、人工知能等の先端分野における沿線国との協力を強化し、ビッグデータ、クラウド計算、スマート都市建設の推進を提唱した。
民間科学技術の協力・交流として、最近になって、中国科学技術協会は積極的に国際組織とその活動に参加し、中国の科学技術者が国際組織に勤務するよう支援し、学会によるハイレベル国際組織会議を中国で開催することを支援している。また、民間の国際科学技術協力交流を促進して、科学技術者の海外交流を通じて人文交流及び創業・革新を促進している。
※中国、2018年末に安徽省合肥市の科学島にある中国科学院プラズマ物理研究所で核融合工程実験炉(CFETR)の建設を計画する。
[JST北京事務所]