[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/06/13
抄訳記事公開日:
2017/08/03

ARPA-Eはミッション達成に向けて前進しているとの評価報告

ARPA-E Making Progress Toward Achieving Mission, Says New Assessment

本文:

2017年6月13日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。

エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)は法に定められたミッションと目標の達成に向けて前進している。議会からの委託を受けてNASEMが作成した最近の報告書はこのように述べている。ARPA-Eは、その時点で他のいかなるファンディングによる支援も受けていなかった研究のファンディングを実施してきた。その結果そのようなプロジェクトの成果の中には、その多様な技術に対して民間や他の公的資金源によるファンディングを引き出したものがある。

実施年数が少ないことや予算の規模を考えると、ARPA-Eがその目標を完全に満たせると期待するには無理がある、と報告書は述べている。新エネルギー技術の開発には通常なら数10年の取り組みが必要であり、さらにイノベーションが真に変革をもたらすことが証明されるには通常は数10年が必要である。

報告書は、ARPA-Eが初期の実績を基盤として柔軟な運営方式とリスクをとる文化を継続維持することを求め、その及ぼす効果の評価の枠組みを作成し、報告プロセスを簡素化するよう提言している。

議会はARPA-Eをエネルギー省(DOE)内に設置し、「エネルギー技術開発における長期かつハイリスクの技術障壁の克服」を目指すミッションを持たせた。2007年の米国競争力法(America COMPETES Act)でARPA-Eが議会の承認を受けた時点で、6年間の運用後に法に定められたそのミッションと目標に向けた進捗状況の早期評価が求められていた。今回のNASEMの報告書がその評価の結果を述べている。

報告書によると、ARPA-Eのファンディングを受けた技術の完全な市場でのインパクトは数年では見られないが、一部中間的な成果は現時点で明らかである。支援を受けたプロジェクトチームまたは技術の4分の1が、引き続き作業を継続するためのファンディングを受けている。支援を受けたプロジェクトの約半数が論文審査のある学術雑誌に研究成果を発表しており、約13%が特許を取得している。これらはすべて製品への実用化を目指す軌道上にある技術にとって好ましい指標である。

ARPA-Eは、変革的活動、空白地帯(民間セクターや他の連邦政府研究プログラムが取り組みそうもない新規・未開拓の技術領域)、及び新たな技術の方向を切り開く可能性調査や見込みのある方向の技術的なメリットの評価に対するファンディングを実施することで、多くの場合米国の経済・エネルギー安全保障を成功裏に強化しようとしている。この初期の段階で重要なことは、ARPA-Eがそのミッションと目標の実現に失敗しつつあるという兆候は全く見当たらないことである、と報告書は述べている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]