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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2017/06/16
- 抄訳記事公開日:
- 2017/08/09
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米国予算委員会:退役軍人省の研究費は増加、歳出配分リスト不備については議論
This Week in Appropriations: VA Research Boosted; Spending Allocations Debated
- 本文:
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6月16日付、アメリカ科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は下記のとおりである。
(円ドル換算レートは111円/$とする。)米国下院予算委員会は2018年度予算案について議論を始めた。まず軍事建設および退役軍人省の予算を最初の法案とした。また、委員会は全支出配分が揃っていないことを議論した。これは8月の休暇に入るまでにすでに2か月を切っていることから、予算のプロセスに混乱をきたすことになる。
法案:軍事建設、退役軍人省
6月15日、予算委員会は軍事建設法案を満場一致で可決した。裁量歳出で2017年度レベルよりも60億ドル(6,660億円)増加。科学で最初の予算法案となったのは、退役軍人省の医療・義肢研究で6億9,820万ドル(775億円)の配分となり、これは2017年度レベルより3.7%の増加となる。これは現政権による予算削減を覆すものとなった。他には、国立心理的外傷後ストレス障害(PTSD)センターには4千万ドル(44億4,000万円)の配分、これは現政権の予算要求の倍の金額である。中でも予算委員会は退役軍人省に対し、研究大学や研修病院、その他と官民パートナーシップを組み、自殺防止、PTSD,トラウマによる脳損傷、薬物乱用と取り組むように指示した。また、女性退役軍人のための義肢器具、呼吸器系の病気、リハビリのための外骨格技術、などについても特に研究を推し進めるよう促した。この法案は次に下院で審議される。議論:支出配分
予算委員会はまた、上記以外の支出配分が揃っていないことを議論した。これは民主党にとってはかなりの批判材料となる。例年であれば、予算委員会が12の法案の支出額の上限を法案が作成される前に決めている。この上限は「302(b)」配分と呼ばれており、各々の予算法案の各省庁への予算配分に影響を与える。予算委員会委員長は今回のこの状況を特殊なケースとして取り扱い、「暫定的」配分を各法案が決まり次第、順次、決めていくことにした。これについて問題となるのは、2018年度に入ると有効な歳出予算措置はなくなっており、支出配分がない限り、支出は法的には差し押さえレベルになってしまう。言い換えれば、現在の法律の下では、全体で50億ドル(5,550億円)の裁量歳出削減を意味する。もし、議会が50億ドル(5,550億円)の削減をすることになり、軍事建設の予算法案が60億ドル(6,660億円)増加するのであれば、科学技術分野も含み、他のすべての歳出の縮小が余儀なくされる。下院民主党はこの問題を取り上げ、予算削減がどこでも埋め合わせとして起こりうる、と警鐘を鳴らした。民主党が懸念しているのはアメリカ海洋大気庁(NOAA)やアメリカ地質調査所(USGS)やアメリカ航空宇宙局(NASA)などのプログラム予算で、これらの多くは現政権の予算要求の段階で削減されている。
これを避ける方法として考えられるのは、軍事費と非軍事費の予算の上限を引き上げることである。この考えには民主党と多くの共和党員が賛成している。トランプ政権は軍事費を増加させるために非軍事費の大幅削減を提唱したが、このやり方は広く却下された。例えば、木曜日の予算公聴会では、下院予算委員会で民主党のケン・カルバート氏は「全員ではないにしても我々のほとんどが軍事予算の増加に賛成している。しかし、軍事費が、非軍事費の削減をあてにしてはならない。それができないことは、ここにいる皆が分かっている。現政権、上院、下院、全員が実現可能な数字に合意する必要がある。予算執行差し止めや予算制限法を避け、裁量予算であるかどうかに関わらず、実現可能な数字を出さなければならない。裁量経費だけでなく、全体的予算を議論する必要がある。」と述べた。
今週の言葉
「もう6月中旬である。予算決議ができていない、歳出リストも作成されていない、債務期限は急速に近づいている。予算小委員会から予算配分のリストが出てきていない。全体のリストなしで、予算法案を一件、一件、出てくるたびに作っていては、暗闇の中で仕事をしているようなものだ。」とは、共和党員サンフォード・ビショップ氏の言葉である。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]