[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2017/07/10
抄訳記事公開日:
2017/08/24

高分解能・埋め込み型の神経インターフェースの実現を目指す

Towards a High-Resolution, Implantable Neural Interface

本文:

2017年7月10日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は以下のとおりである。

DARPAは神経工学システム設計(NESD)プログラムを支援する研究機関5機関および企業1社に対して契約・発注した。ブラウン大学、コロンビア大学、視聴覚研究財団(Fondation Voir et Entendre)、John B. Pierce 研究所、Paradromics, Inc社、カリフォルニア大学バークレー校である。これらの機関がチームを形成して、高分解能神経インターフェースに関するNESD構想の実現に必要な基盤的研究および要素技術の開発にあたり、それらを統合して将来の感覚復元治療を可能ならしめる実用システムの作製・実証を行う。これらチームのうち4チームは視覚に重点を置き、残りの2チームは聴覚と発話に重点を置く。

脳とディジタル世界との間の精密なコミュニケーションを可能にする埋め込み型システムの開発を目標として、DARPAは2016年1月にNESDを発表した。このようなインターフェースは脳内のニューロンが使用する電気化学的信号を情報技術の言語を構成する1と0に変換するが、それを現在可能な規模よりすっと大きな規模で実行する。この研究は視覚、聴覚、発話の神経基盤に関する科学者の理解を大きく進展させる可能性があり、感覚障害を抱える人々の新たな治療法につながる可能性がある。

本プログラムの最初の年はハードウェア、ソフトウェア、神経科学における基盤的なブレークスルーに重点を置き、それらの進歩を動物や培養細胞で試験する。プログラムのフェーズIIでは、小型化や統合化を進める一方で、基礎的調査の継続を求める。その場合新たに開発されたデバイスのヒトへの安全性試験に関して、規制当局による認可を得るための道筋に注意を払う必要がある。そのような取り組みの一環で、研究者は米国食品医薬品局(FDA)と協力して、長期的な安全性、プライバシー、情報セキュリティ、他のデバイスとの互換性、その他多数の側面と言った諸問題につて調査を開始する。これらの問題は規制当局が新技術の応用の可能性を評価するにあたって考慮するものである。

NESDの提案募集では一連の特定の技術目標が明らかになっている。電力、通信、生体適合性と言った懸案事項に対応する埋め込み型パッケージの開発などである。基盤的研究課題の一環として、単一ニューロン・レベルの精度で、かつ画像や音声を詳細に表現するのに十分なスケールで、脳が聴覚、発話、視覚を同時処理する方式の深層理解を促進する。上記選抜チームはこのような生物学的プロセスに洞察を加え、最小の電力とコンピュータ資源を用いて神経活動を迅速に解釈する戦略の展開を狙う。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]