[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/07/11
抄訳記事公開日:
2017/08/28

北極・南極圏における同一型式極地砕氷船 新規4隻の建造を提言

New Report Recommends Construction of Four New Polar Icebreakers of the Same Design as the Lowest-Cost Strategy for Protecting U.S. Interests in Arctic and Antarctic

本文:

2017年7月11日付の全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記発表の概要は以下のとおりである。

米国は北極・南極圏における砕氷能力が不足しており、(砕氷船の購入・運用に関わるライフサイクル・コストの最小化に資するような)重装備の砕氷能力を備えた極地砕氷船4隻を建造する必要がある。NASEMが議会の要請に基づいて作成した最新の報告書はこう述べている。4隻の重装備砕氷船は米国沿岸警備隊(USCG)の法定任務の遂行を低コストで可能とするもので、3隻は北極圏に1隻は南極圏に配備される。

報告書が提示した方式を使って同一型式の4隻を購入することで、重装備の砕氷船1隻当たりの平均コストは7億9,100万ドルになると見積もられる。4隻の砕氷船を共通型式とすることで、船の耐用期間中の運用・維持コストを削減でき、業務の継続性が向上し、USCGの砕氷能力が強化され、運用効率が改善される。

報告書を作成した委員会では、4隻の船舶の建造開始を2019年後半と想定しているが、そうすると最初の砕氷船の就役は2024年半ばで、2番目の砕氷船は2025年半ばになる。

米国が経済的権益、捜索・救助要請、国防・安全保障上の備え、環境保護、海上交通、科学研究を支援することを目的として、高緯度地域に駐留するためには、年間を通じて確実にアクセスできる必要がある。南極では米国は3年間通しの研究施設を維持し、国際条約上の義務遵守の検証を行うが、いずれの場合にも季節に関係なく砕氷能力を必要とする。

USCGは新規建造砕氷船が科学研究対応能力を有することを保証する必要があり、1隻は船舶寿命が終わりに近づきつつある砕氷船Healyの代替船として完璧な科学研究能力を保有する必要がある。科学研究対応設計には、科学機器の設置を可能にする柔軟な収容スペース、重量、安定度の許容範囲などいくつか重要な要素が含まれ、それらは既存の船にはコスト効果的に組み込めない。完璧な科学研究能力を保有する船には、船上で操作する海洋研究機器のほか、他の最新の海洋研究船に匹敵する船に備え付けの機器や設備などの機能が搭載されることになる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]