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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2017/07/19
- 抄訳記事公開日:
- 2017/09/01
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楊衛:国家自然科学基金の資金援助による発表論文は世界の論文数の1/9を占める
- 本文:
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2017年7月19日付の「中国科学報」ネット版は、「楊衛:国家自然科学基金の資金援助による発表論文は世界の論文数の1/9を占める」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
7月19日、浙江大学化学工程と生物工程学院、浙江工業大学及び化学工程共同国家重点実験室(浙江大学)の共催による「第九回世界華人化工学者シンポジウム」が杭州で開かれた。同シンポジウムでは、国家自然科学基金委員会主任、浙江大学の元学長である楊衛院士は、「絶えず増加し続ける国家の資金投入に頼り、過去20年、中国の基礎科学研究は数量と品質の急速な成長を実現した。2016年、中国が発表した科学研究の論文数は世界の論文総数の20%を占め、そのうち、約7割は国家自然科学基金の資金援助を受けた。即ち、世界で発表した科学論文の9編のうち1編は中国国家自然科学基金の資金援助を受けた」と述べた。
基礎科学研究の振興は社会経済発展振興の重要な駆動力として、独創性、創造性、深遠な影響を持つ理論的な突破と技術イノベーションに富み、産業発展を牽引する巨大なものとなる。
楊衛院士は、「世界上位1%内の高被引用論文数というインデックス(index)は論文の品質と影響力を代表する。1997年、中国が産出した世界上位1%内の高被引用論文数は、世界総数の0.2%を占め、2016年、その比率は20%に達し、20年間で、100倍に増加した。中国の基礎科学研究の品質は長足の進歩を遂げたことを示した」と指摘した。
楊衛院士の紹介によると、中国は貴州省に設置された500メートル球面電波望遠鏡(FAST)、暗黒物質を探求する世界最深とされる四川省錦屏山地下実験室、北京JF12レーザー駆動風洞(中国科学院力学研究所が開発した超音飛行および長時間試験条件を備えるレーザー駆動風洞技術)等を含む重大な科学発見に向けての大型科学実験装置を保有し、北京、合肥、上海等の都市に中国の複数の大科学装置が集中している。現在、中国の基礎科学研究は「総量」、「貢献」、「独創性」等の三つの方向の目標を重点に置いている。「総量」において、現在の中国の科学研究上のアウトプットはアメリカの約6割で、今後、アメリカと同じぐらいになるという目標を目指す。「貢献」において、一里塚となる科学的研究成果を遂げ、学術的高地を形成し、先端科学において、より多くのシェアを占めるように努力する。「独創性」においては、中国で創造性の学術思想を形成し、新たな学科の誕生及び新学派が現れること等を目的としている。
楊衛院士は、「未来を展望すると、中国の若手科学者の急速な成長は注目を集めている。2016年国家自然科学基金の一般プログラム(※)の申請と言えば、37歳ぐらいの科学者グループがピークに達しており、主力軍となっている。ここ数年、国家青年千人計画を申請した海外ハイレベル人材は持続的に増加し、今年、約3500人が同計画の申請を提出した。今、新世代の科学者は中国の基礎科学の研究における新たな原動力となっている」と表明した。
※一般プログラム(面上項目)は科学技術人員が国家自然科学資金の援助範囲において、自由にテーマを選択することを助成し、イノベーションがある科学研究を展開するプログラムである。
[JST北京事務所]