[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
科学技術部(MOST)
元記事公開日:
2017/07/27
抄訳記事公開日:
2017/09/19

科学技術部等、学術論文大量撤回の事件調査に関する記者会見を開催

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本文:

2017年7月27日付の科学技術部ウェブサイトは、「科学技術部等、学術論文大量撤回の事件調査に関する記者会見を開催」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

7月27日、学術誌「Tumor Biology(腫瘍生理学)」の学術論文大量撤回事件の調査処理状況に関する記者会見が科学技術部で開かれ、科学技術部政策法規・監督司の賀徳方司長、教育部・科学技術司の李楠副司長、国家衛生・計画生育委員会科学技術教育司の劉登峰監察専門要員、国家自然科学基金委員会・科学研究誠信建設弁公室の朱蔚彤主任、中国科学技術協会・調査研究宣伝部の王挺副部長が出席した。賀徳方司長は連合工作組を代表し、各メディアに学術誌「Tumor Biology(腫瘍生理学)」の学術論文大量撤回事件の調査処理の総体状況等を通達し、以下の通りで述べた。

党中央、国務院は科学技術イノベーションの発展を重要視し、真実を求め、誠実信用という社会雰囲気を作り上げ、卓越したイノベーション文化を追及する。今回の論文の大量撤回事件は中国科学技術界の国際的な名声を傷つけ、中国の学術環境を更に最適化させ、学術上の不正行為を懲罰する体系の改善に力を注ぐ必要があることを意味する。

論文撤回事件に対して、科学技術部と関連部門と共同で連合工作組(※1)を設立し、撤回論文に対して逐一徹底的な調査を行って、責任を見分けて、厳粛的に処理し、原因を自分自身で探し、「 ゼロ・トレランス(no tolerance、許容度ゼロ)」の態勢を形成し、断固として学術の不正行為を蔓延させている傾向を防ぐ。

詳細にわたる調査によると、不正のあった107編の論文のうち、2編の論文は学術誌「Tumor Biology(腫瘍生理学)」の重複発表、1編の論文は学術誌「Tumor Biology(腫瘍生理学)」の著者自身の間違えの論文撤回ということで、著者自身は過失がないとのこと説明した。101編の論文は査読不正(peer review※2)の問題が存在し、そのうち、95編の論文は第三者機関による査読不正で、6編の論文は作者自身による査読不正が行われた。101編の論文のうち、12編の論文は第三者機関から購入、残りの89編の論文は作者自身が作成したものとのこと。学術評議の認定によると、そのうちの9編の論文には内容ねつ造が存在し、他の80編の論文は作者自身による完成のため、内容ねつ造は存在していない。この107編の論文には521人の作者が関わり、そのうち、11人は過失なし、486人はある程度の過失存在(486人のうち、102人は主たる過失責任者、70人は副次的な過失責任者、314人はねつ造に関与していない)、残りの未究明の24人は、手順に照らして科学研究不正(誠実信用)の「保護観察リスト」に組み込まれた。

不正行為による論文撤回に関与した作者が属する機関は関連の手続きを履行し、各過失責任者に対する一定の期限までに受託した科学技術計画(特定プログラム、ファインディング等)のプロジェクト及び職位昇進の職務等の資格を取り消し、受託した科学技術計画(特定プログラム、ファインディング等)のプロジェクト経費を返還し、獲得した科学技術奨励、学術奨励、栄誉称号を撤回する等の処理を決定した。その他、「中国共産党紀律処分条例」、「事業機関人事管理条例」、「事業機関従業員処分暫定規定」等の関連規定及び機関内部規則制度に基づいて関連過失責任者に対して、党紀、政紀及び他の相応処分を決定し、本機関のウェブサイトにおいて具体的な処理状況を公表する。連合工作組は査察を組織展開し、調査処理の着実な実行を確保して、「庇う」行為を行う機関及び関連責任者に対して厳粛に処理していくとのこと。

同時に関連機関の調査状況に基づき、科学技術部は21名の論文撤回に関与した作者が参加した20件の国家科学技術計画プロジェクト(課題)の実施を一時停止し、責任を確定後、過失なしの作者の場合には参加の実施を復帰するとのこと。国家自然科学基金委員会は撤回した論文を提案書類の業績として、2017年度の科学基金申請書に組み入れた51件のプロジェクトに対しては、提案審査をしない措置を取った。中国工程院は1名の論文撤回に関与した作者の院士立候補者の資格を一時停止した。

賀徳方司長は、「関連部門は厳重に罰する規則を制定し、学術ねつ造への法律徴戒の研究調査を展開し、学術誌の事前警報制度に関する研究を組織・展開し、年内に事前警報モニタリングの関連ジャーナルを発表する。今後、大学、科学研究機関等の学術管理制度の改善を推進し、科学研究人員に対する学術的な成長と学術レベルの追跡評価を行って、重要な学術成果の発表に対する学術上の審査を強化する。その他、教育、医療衛生等の分野での職位・職務改革を加速し、国家臨床医学研究センターの臨床医者の職位・職務審査・評価の改革テストの関連業務を始動する」と表明した。

※1工作組は短期間に整頓·監督·指導工作にあたるグループを指す。
※2ピアレビュー(peer review)は学術雑誌や学会誌等に投稿された論文を同じ研究分野の研究者(ピア)が評価することである。

[JST北京事務所]