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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2017/08/08
- 抄訳記事公開日:
- 2017/09/25
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人権連合、科学に対する権利の理解を深める
Human Rights Coalition Deepens Understanding of the Right to Science
- 本文:
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8月8日付、米国科学振興協会(AAAS)による表記記事の概要は次のとおりである。
7月27日と28日の両日、米国科学振興協会(AAAS)による科学と人権連合会議が開かれた。そこでの発表によると、人々が科学の進歩による恩恵を受ける権利についての研究が、「科学と人権」に関わる人達により進められており、このような恩恵をどのようにして確保するかを様々な組織に伝えている。以下は会議出席者の言葉をまとめたものである。
科学に対する権利は1948年に国連の世界人権宣言により、定められているばかりでなく、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約、第15条にも定められている。
このような国際規定により、各国政府はすべての人が科学の進歩およびその利用を享受し、保持し、発展させ、普及させる権利があり、科学研究に必要な自由を尊重し、科学の国際的な交流、協力がもたらす利益を認識する権利を確保しなければならない。計165の国がこの取り決めに加わっている。米国は署名したが、批准はしていない。
科学に対する権利は、米国科学振興協会(AAAS)の「科学的責任、人権および法、科学と人権連合」により出された新しい報告書「科学に対する権利の意味:世界的、学際的アプローチ」の主題である。この報告書は「科学の進展とその応用を享受する権利に関する共通の理解の礎」となる。
HIV、結核、ウィルス性肝炎を克服する研究に没頭する治療行動グループの一員は、科学に対する権利により治療行動グループがいかに(特に)結核に対するその取り組みを周知できるようになったかを語っている。「私たちの仕事は上記第15条の主義主張に沿っているにも関わらず、いつも『科学に対する権利』とすることができたわけではない」と言う。
結核は現在、世界的にみて感染性のある疾患のうち、予防でき治療できるものの、死に至る可能性が高いものである。そのため、結核研究は不十分で、治療行動グループは科学を発展させ浸透させるという上記第15条にのっとって、各国政府にさらなる研究を義務づけるよう働きかけた。また、広く平等に科学の恩恵を享受するために、各国政府に結核研究のファンディングを増やすよう、また、その情報や結果を科学界並びに一般市民に広めるよう呼びかけた。
治療行動グループは科学に対する権利を使って、コミュニティ動員キャンペーンを行った。特に、そうでもしなければ、科学の進展の恩恵に携わることができない、と感じる人々を巻き込んで動員した。「多くの人は科学やその成果は遠い存在であると感じている。そのギャップを埋めたり、狭めたりするために上記第15条が役に立つ」と治療行動グループの一員は述べている。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]