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国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2017/08/11
抄訳記事公開日:
2017/09/28

無線周波数スペクトルと機械学習を組み合わせた無線技術の新しい波

The Radio Frequency Spectrum + Machine Learning = A New Wave in Radio Technology

本文:

2017年8月11日付の国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は以下のとおりである。

無線周波数(RF)スペクトルはますます混雑の度合いを増している。DARPAの新規プログラム「無線周波数機械学習システム(RFMLS)」では、最先端の機械学習(ML)がこの混雑の中であらゆる信号の把握に役立つかどうかを吟味する。

デジタル化された書き言葉、話し言葉、画像、ビデオストリーム、その他のデジタル・コンテンツについて十分な訓練を施すことで、MLは音声認識、自動運転車、以前は想像するしかなかったその他の能力の基盤になってきた。無数の電話、電気器具、ドローン、交通信号機、セキュリティ・システム、環境センサー、その他の無線接続デバイスが急速に成長する「モノのインターネット」(IoT)に集積されていくことから、目に見えないRF信号の領域にMLを応用する必要性が生じている。

RFMLSに期待されている能力は、RFスペクトルの構成(RFスペクトルを占めている信号の種類、重要信号のバックグランドノイズからの区別、規則に従わない信号の特定など)を認知し把握することである。RFMLSはRF信号中の微妙ではあるが必然的な違いを分別し、しかもなりすましや不正侵入を意図した信号とは区別できることが期待される。

与えられたいかなる空間においても絶えず変化するRF信号構成に関する上記と同様の状況把握は、スペクトル共有として知られる無線通信管理パラダイムの支援にもなる。特定周波数のライセンス契約に支配される現行の排他的割り当てではない、スペクトルの共有使用のパラダイムである。

RFMLSプログラムは、将来のRFMLSシステムに組み込まれることになる次の4つの技術的構成要素を特徴とする。
・表現学習(feature learning)
RFMLシステムは、RF信号のデータ集合から、民事・軍事の様々な環境の信号を特定して特徴把握するのに用いられる特徴表現を学習必要がある。

・注目と顕在化(attention and saliency)
たとえば巨大なスーパーマーケットでアイスクリームを探すなど、人が必要な目標に向かって素早くまっすぐに注意を向けることができるように、瞬間ごとに入ってくるセンサー入力信号の沼の中で、RFMLシステムは対象となるRFスペクトルの潜在的に重要な信号に対して人工的に注目するアルゴリズムを内蔵する必要がある。

・自律的RFセンサー構成(autonomous RF sensor configuration)
ヒトの眼は変化する光のレベルに合わせて自動的に調整され、動いて焦点を絞り、動的な視界の最も重要な場面を網膜の最も感じやすい部分に保持する。RFMLシステムは信号の受容を自動的にチューニングするのと同等の能力や目前の作業を最も効果的に完了できる信号特性を備えることになる。

・波形合成(waveform synthesis)
完全なRFMLシステムでは、実質的にあらゆる可能な波形をデジタル的に合成できる必要がある。それは人類が、自分が言おうとすることに重みやニュアンスの意味を持たせるために、新たな言葉を発したり抑揚やポーズを加えたりするのと同じである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]