[本文]

国名:
中国
公開機関:
中国科学報
元記事公開日:
2017/08/21
抄訳記事公開日:
2017/10/05
元記事の言語:
中国語

ゲノム編集技術により誕生した世界初の内在性レトロウイルスを不活性化したブタ、中国科学研究競争力を向上させる証拠となる

基因编辑小猪“见证”中国科研竞争力提升

本文:

2017年8月21日付の「中国科学報」ネット版は、「ゲノム編集技術により誕生した世界初の内在性レトロウイルスを不活性化したブタ、中国科学研究競争力を向上させる証拠となる」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。

近頃、ゲノム編集技術を用いて世界初の内在性レトロウイルス(Porcine endogenous retrovirus, PERV)を不活性化したブタが誕生した。ブタの臓器による人間への臓器移植に向けて、異種間のウイルス感染というリスクを根本的に解決するという点で、未来の人類の健康に重要な意義を持っている。

内在性レトロウイルスを不活性化したブタが、米国の科学者によるゲノム編集技術と中国の研究チームによるクローン技術の育成により、中国雲南省の西南生物多様性実験室で誕生した。

・「無毒」のブタにより医学の難題を解決:
関連統計によると、世界で臓器移植を必要とする人は約200万人で、しかし、臓器の提供数は需要より格段に低い。ブタの内臓は人間のものと同じ大きさで、機能的にも同様になっているため、1990年代にはブタの臓器を人間に移植することを試みたことがあった。しかし、試験によって、ブタのゲノムに内在性レトロウイルスが含まれ、「毒性」も存在する可能性があるため、異種間臓器移植の研究は進まなかった。

ゲノム編集技術CRISPRが、その解決に大きな役割を果たしている。イー・ジェネシス(eGenesis)の共同創業者兼最高科学責任者(CSO)の楊璐菡(※Yang Luhan)氏は新華社の記者の取材に対し、「我々は異種間のウイルス感染というリスクを根本から解決した。9月10日に米国『サイエンス』に掲載された同研究成果には以下の二つの部分が含まる。まず、ゲノム編集技術CRISPRと小分子薬剤によりブタのゲノムに内在性レトロウイルスを除去したこと。次に、クローン羊ドリーを育てた時と同様に、ブタの繊維細胞からクローンの豚胚胎を育て、母ブタの体内に移植し、最終に内在性レトロウイルスが不活性化された世界初の「無毒」のブタを誕生させたことである。米国は世界一流の核心技術を有し、中国は世界で最もよいブタのクローンプラットフォームと技術者を擁し、我々は雲南農業大学の魏江紅教授の研究チームと緊密な学術協力関係を持っている」と述べた。

・中国のクローンブタの技術、先頭に立つ:
雲南農業大学の魏江紅教授の紹介によると、同研究チームは国内でブタのゲノム編集(CRISPR)と体細胞クローン技術プラットフォームを擁し、ブタの体細胞クローンの分野において高効率性と規模性を持っている。

検査によると、ブタのゲノムに内在性レトロウイルスが確実に消失され、しかも通常の小ブタに生理上の違いは見られない。「無毒」かつ「正常」の器官を備えることを意味する。

・開放・協力により科学研究の実力を向上:
ここ数年の中外科学研究協力の成功事例として、楊璐菡(Yang Luhan)と魏江紅の二つの研究チームの協力により、世界先端の研究成果のブレイクスルーが生み出された。今年7月、国家科技評価センターは「中国国際科学研究協力の現状報告書」を発表した。同報告書によると、2015年の中国国際協力論文の発表数は、2006年の4.4倍で、7.1万編に達し、世界第3位にランクされた。

Nature Indexによると、中国の科学研究の国際協力の割合が持続的に増加し、2016年までに追跡した中国論文に占める国際共著論文の割合は50%以上となった。

国家科技評価センターの楊雲研究員は、「中国の国際共著論文の量質が絶えず高まり、2006〜2015年までの10年間で、国際共著論文の平均被引用の影響度は1.5に達した。中国自身の科学研究の実力増強及び国家の科学技術開放・協力拡大の関連政策をベースに、中国科学研究国際協力の規模と影響力がますます高まる」と述べた。

世界初の内在性レトロウイルスを不活性化したブタが中国で誕生され、中国はクローンブタの技術上の優位性を発揮し、ブタのゲノム編集(CRISPR)の先進的な方法を学ぶことができる。楊璐菡(Yang Luhan)氏は、「今後、中国における中国人自主開発の機構を設立し、中国の患者に異種間臓器移植の治療手段を開発に力を入れることが期待される」と述べた。

※楊璐菡(Yang Luhan):米国のバイオテック企業であるイー・ジェネシス(eGenesis)の共同創業者兼最高科学責任者(CSO)である。北京大学で生物学学位、ハーバード大学医学院で人類生物学とトランスレーショナル医学博士学位を取得、2014年から異種器官移植課題チームのリーダーとして、CRISPR/Cas 9 と呼ばれるゲノム編集の技術を用いて、動物の組織を人体で利用するという異種移植への道を開いた。2014年、「フォーブス」誌に科学医療分野での30歳未満30名(30 Under 30)のリーダー人物の一人として選ばれた。

[JST北京事務所]