[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/09/15
抄訳記事公開日:
2017/10/12

2018年度オムニバス歳出法案が下院を通過

This Week in Appropriations: House Clears Omnibus Spending Bill

本文:

2017年9月15日付の米国科学振興協会(AAAS)による標記発表の概要は以下のとおりである。

2018年度オムニバス歳出一括法案が2017年9月14日下院を通過した。オムニバス歳出法案には下院歳出予算委員会が承認した年次財政支援法案12法案のすべてが含まれる。オムニバス一括法案により、下院の歳出予算作業は2009年以来初めて予定通りに完了できたが、今のままの形では法律となり得ない。国防支出を6,215億ドルに設定したことで、予算制限法の定める歳出上限を約720億ドル超えているからである。このような歳出上限破りは sequestration(国防予算を上限内に収めるための一律削減)の引き金になる。しかしながら一括法案はそこまで行きそうにない。なぜならば、上院で必要な60票を獲得するには民主党の支援が必要になるからである。国防支出を増強して、一方では非国防支出を切り詰める予算配分に民主党が賛成するとは考えられない。

AAASの予測によると下院のオムニバス歳出法案では、連邦政府の研究開発予算は2017年度の予測額に対して総額で77億ドル(4.9%)増えて総額1,644億ドルになる。基礎研究と応用研究はそれぞれ2.6%と2.9%伸びており、いずれもインフレ率をわずかに超えている。開発支出は、国防総省(DOD)の開発業務の大幅増強の提案を受けて、更に伸びが大きいと思われる。
それに比して大統領の2018年度予算では、国立衛生研究所(NIH)、エネルギー省(DOE)、国立科学財団(NSF)などの研究省庁に対して大幅な削減を提案していた。

研究開発関連の立法府による主な修正内容は次のとおり。
・NSFの研究および関連業務予算の範囲内でのファンディングの移し替える修正を行い、他の研究経費から総額3,020万ドル分を移し替えて、物理科学・生物科学の基礎研究を推進する。
・国立標準技術研究所(NIST)の製造技術拡大パートナーシップ(MEP)向けファンディングの500万ドル増加。
・NIHでは国立がん研究所向けのファンディングが総額480万ドルの増加。
・海洋大気局(NOAA)の国立環境予測センター(NCEP)向けファンディングの復活。
・農務省(USDA)の研究業務2件に対する資金増(150万ドルおよび200万ドル)。
・運輸省(DOT)の大学交通研究センター・プログラム(UTC)に1,500万ドルの追加。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]