[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2017/09/14
抄訳記事公開日:
2017/10/31

ライフサイエンスにおけるデュアルユース研究の管理方針に関する問題

Policies Governing Dual-Use Research in the Life Sciences Are Fragmented; Most Scientists Have Little Awareness of Issues Related to Biosecurity

本文:

9月14日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下のとおりである。

NASEMの新しい報告書は、ライフサイエンスのデュアルユース研究(潜在的に悪用されて害を及ぼす可能性のある研究)を管理する政策と実践の調査に取り組み、複数の至らない点を指摘している。米国には生物学研究の安全維持に取り組んできた確固とした歴史がある一方で、バイオセキュリティの問題を引き起こす可能性のあるライフサイエンス情報の普及に関する政策や規制は断片的なものとなっているという問題がある。また、大部分の生命科学者はバイオセキュリティの問題に対して意識を殆ど持っておらず、科学者に対する継続的な訓練が重要であることを示唆するエビデンスがある。

多くの生命科学者のデュアルユース問題に対する意識の欠如は、バイオセキュリティリスクに対処するための政策を実施する取り組みを妨げている、と委員会は述べている。生命科学者になるためのトレーニングは、体系的な方法で学習要領に導入されることはめったにない。学部、大学院、および大学院レベルの教育および訓練プログラムには、一般にデュアルユース研究に関するコースまたはディスカッションが含まれていない。仮に含まれていたとしても、主な焦点はバイオセキュリティの問題ではなく、バイオセーフティの問題である。

同委員会は、デュアルユース研究に関する重要事項として次の複数の要素を特定した。
・より幅広い、ライフサイエンス分野の人々の継続的かつインタラクティブな教育と訓練
・モニタリング機能および/または執行能力を有する諮問機関との連携
・政策とアプローチの国際協調の推進
・既存の(例えば、世界保健機関、生物兵器禁止条約)または新たに招集された国際機関への関与
・出版会社の統一的な役割と責任
・立法、規制、または政策メカニズムを普及プロセスの重要な段階に位置づけること
・一般市民の関与を高めること

[DW編集局+JSTワシントン事務所]