[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相官邸
元記事公開日:
2017/09/25
抄訳記事公開日:
2017/11/01

2018~2022年の大型投資計画(GPI)

LE GRAND PLAN D’INVESTISSEMENT 2018-2022

本文:

フィリップ首相は2017年9月25日付で標記計画を発表した。発表された計画の中から抜粋要約して以下に記す。

政府は、構造改革を支援し、フランスの4大課題(カーボン・ニュートラルへのシフト、雇用の改善、イノベーションによる競争力強化、国の電子情報化)に対処するため、今後5か年間で570億ユーロの大型投資計画に取り組む。

大型投資計画(GPI)の570億ユーロの投資額は4つの重点課題に次のように配分される。
・環境に留意した社会への移行の加速化(200億ユーロ)
・スキル社会の構築(150億ユーロ)
・イノベーションによる競争力の定着化(130億ユーロ)
・デジタル国家の建設(90億ユーロ)

●環境に留意した社会への移行を加速
・温室効果ガス排出の20%が建物に起因する。大型投資計画では建物の熱源設備の大幅改良工事を開始する。90億ユーロを投じて、一般の世帯用住宅および公共の建物のエネルギー効率の向上を図る。
・温室効果ガス排出の3分の1は交通機関に起因する。大型投資計画では交通道路網や鉄道の主要な改良プロジェクトを支援する。40億ユーロを投じて、フランスの日常の移動手段の改善を図る。
・大型投資計画による資金支援により再生可能エネルギーの生産能力の70%向上を図る。環境に留意した社会への移行を加速し、個人や企業の働き方を改善するイニシアチブを支援し、将来モデルの創出に70億ユーロを投資する。

●能力養成・雇用対策
・資格を持たないことによる失業に具体的な対応策をとるため、大型投資計画ではスキルの低い2百万人を対象に教育やアドバイスを実施し、雇用に向けた支援を行う。
・大型投資計画では国民教育における体験学習を資金支援し、大学第1課程(大学入学後最初の2年間)の改革、高校や大学でのオリエンテーション、および就職を支援する。

●イノベーションと競争力
・フランスは世界第6位の科学大国である。しかしながら熾烈な国際競争の状況下にあっては、科学に従事する者の使命感を喚起し、有能な研究者を育成し、全世界の研究者を引き寄せ、科学の場でフランスが輝きを放つべく、フランスのモデルを絶えず改良していく必要がある。世界級の大規模総合大学の創出を優先的に確たるものとし、高等教育・研究制度全体の活性化を図るべく、フランスの高度の科学的能力の支援に35億ユーロを投資する。
・大型投資計画ではフランスの競争力の中核をなす企業におけるイノベーションを支援する。大型投資計画では、公的研究と民間研究との間の連携を強化し、人工知能、ビッグデータの活用、ナノテクノロジー、サイバーセキュリティなどの将来分野でのリスクテイクを奨励する。また変化しつつある各分野の改革を支援する。フランスの競争力向上に向けて46億ユーロを投資する。
・農業、漁業、農産物加工業、森林業部門は重要で不可欠な分野である。国の食糧安全確保、農村地域における仕事や雇用を供給することで、この分野は貿易収支や世界におけるフランスの影響力について好ましい貢献をすることになる。気候問題対策の適切な取り込み、多様な関連産業の競争力強化、研究・イノベーションの支援などに対して、50億ユーロの投資が可能である。

●電子情報化時代に即した国家の建設
・公共施策では、公共サービスに新技術をとり込んだり、公共支出の持続可能な管理をするための変革を必要としている。大型投資計画では44億ユーロを投資して、政府の対応をより迅速にし、公共サービスの質と利用性の向上を図る。
・医療制度、社会保障制度でも、新技術の取り込みや地方の課題への対処などで変革を必要としている。大型投資計画では49億ユーロを投じて、医療制度や社会全体の電子情報化を促進する。

[DW編集局+JSTパリ事務所]