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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2017/10/06
- 抄訳記事公開日:
- 2017/11/07
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下院と上院で予算審議が進展するものの、科学への影響は小さい
House, Senate Advance Budget Plans, But Not Much Changes for Science
- 本文:
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10月6日付けの全米科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は以下のとおりである。
今週、下院と上院は、議員が2018年会計年度に向けた予算決議案を提出することにより、年次予算プロセスを振り出しに戻した。なお、2018年会計年度は既に始まっており、そのための支出法案の多くは書き上がっている。また、この予算決議案の提出により、既に作成された予算計画はあまり意味をなさなくなると考えられる。
予算決議案とは、議会にとって支出の枠組みとしての機能を果たすことを意図されているものである。例えば、それにより、実際にファンディングの決定を行う予算充当者(appropriator)に対して毎年の裁量的経費(基本的に全ての科学プログラムがこの裁量的経費に含まれている)の額の水準を示すとともに上限を規定している。通常であればこのプロセスは、実際の予算充当が開始される前の4月15日までに終了しているはずであるが、今年度は諸々の理由により終了していない。
しかしながら、予算決議案がないからといって、予算充当プロセスが止まるわけではない。事実、下院は既に9月末までに通例通りに12の法案を承認することによりその充当プロセスを終了している。上院本議会はまだ1つの法案も承認していない一方で、上院歳出委員会(Senate Appropriations Committee)はいくつかの法案が明らかにならない状況下で独自に予算充当を進めている。
結果的に、予算決議案は、予算充当者に対して意図された役割を果たすという観点からは、ほとんど遅きに失するものとなる。
それどころか、いずれの計画も、科学技術へのファンディングにおける「現状の支出キャップがどこにたどり着くべきか」という重要な問題に答えを与えていない。
現在の法律では、2011年に導入された防衛・非防衛支出に対する法定上限により、2018年度については2017年度の水準に対し2分の1パーセントポイント分支出上限が下げられることになっている。上院の予算決議案は、単純にこの規定に従うものとなっている。一方で、これは上院の予算充当者が既に行った2017年度水準での予算充当とは矛盾する。上院が後にキャップの引き上げに成功しなかった場合、既に充当された予算の一部が執行できないという事態も生じうる。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]