[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2017/10/31
抄訳記事公開日:
2017/12/08

増大し続けるサイバーセキュリティ課題への対処を狙ったNSFの投資

NSF investments aim to address growing cybersecurity challenge

本文:

2017年10月31日付の国立科学財団(NSF)による標記発表の概要は以下のとおりである。

NSFはこのほど、増大し続けるサイバーセキュリティ課題への対処を目的とする基盤的研究・教育に対する7,450万ドルのファンディングを発表した。NSFの高安全性・高信頼性サイバースペース(SaTC)プログラムを通じたこの投資は、(エネルギー網や輸送システムなど)関連重要インフラ等の安全、安心で回復力があり信頼性の高いサイバースペースの達成に必要不可欠である。

SaTCプログラムの狙いは、セキュリティやプライバシーを確保することで計算・通信システムの増大する経済的・社会的利益を最大化することにある。この目標は表面上は簡単に見えるが、サイバーシステムの安全確保や情報プライバシーの維持は極めて難易度の高い問題であることが明らかになってきている。システムの脆弱性と人の行動・動機との間の相互作用が、数多くの例で攻撃、被害、不正アクセスの誘因となっており、近年では年間数十億ドル規模の費用負担となっている。

上記課題に対処するため、NSFは広範囲(アクセスコントロール・ID管理、暗号化、侵入検知、ヒトとの対話・利用性、ネットワーク・トポロジー、その他)の領域の研究者に対して214件の助成金を出す。NSFのSaTCによる投資は、基盤的研究の促進、有能な次世代サイバー要員の育成、そして研究イノベーションの実用製品への技術移転の促進といった広範囲の活動にわたる。

今回発表の助成対象の中で次の3大プロジェクトには5年間に各々140~300万ドルの予算が充てられる。
・暗号プロトコルの自動的合成のための枠組み
本プロジェクトでは、ソフトウェア開発者のセキュリティ目標と(ハードウェアと暗号プロトコルが提供する)エンドユーザ向け低レベル機能との間のギャップを埋める方法を開発する。

・意思決定システムにおけるプライバシーと公平性
本プロジェクトでは、公衆の生活に影響を及ぼす判断や措置を決定する自動化システムにおいて、プライバシーや公平性を確保する方法を研究する。

・国家レベル接続に対するインターネット・トポロジーの感受性の研究
本プロジェクトでは、インターネット・インフラにおける潜在的弱点を特定して、攻撃側がこのような危険をはらむ要素に不正侵入した場合の潜在的影響を定量化する方式を開発する。

上記以外の助成対象では、教師向けの新規教材や専門能力開発のパイロット・プログラムなど、サイバーセキュリティ要員養成に重点を置いている。

今回発表の助成金は、2017年度の省庁横断的なサイバーセキュリティ研究・教育に対する投資枠、約1億6,000万ドルの一部である。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]