[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2017/11/02
抄訳記事公開日:
2017/12/21

北極圏での科学協力が国際的安定を育む

Arctic Scientific Collaboration Fosters International Stability

本文:

11月2日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

今年5月11日に北極圏8ヵ国が科学協力条約に署名した。カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、ロシア、米国 (それにグリーンランドとファロエ諸島が加わった)である。この条約により、これらの国々の間で、研究者、施設、資材の移動、データおよびメタデータの共有、および各々の国の伝統的な地域に関する知識の共有が改善される。この中のいくつかの国の間では地政学的緊張が高まっていたにもかかわらず、科学協力が共通の目的を成し遂げるために、いかに個々の国を結びつけたかを証明している。

フィールドワークをするのに必要なビザや研究許可を得るのが早くなり、国家間で共有しているデータベースの利用の為の歴史的、科学的データのデジタル化を支援し、次世代の北極研究者を育て上げるためのフィールドワークやサマースクールを支援できれば、この条約は成功したと言える。

南極、北極、宇宙空間が地政学に影響されないのは科学外交のおかげである。国際科学協力は1959年の南極条約に始まる。北極環境保護戦略が1991年に発足し、これが後に北極における国際ガバナンスとなり、1996年に北極評議会となった。今回の北極科学条約は北極圏の国にとっては3回目の法的措置となる。

この条約は、国際北極科学会議、北極圏大学、国際北極圏社会科学連盟とネットワークを組み、国境を越えて、研究と教育を強化し、全参加国の持続的利益のために、いかに科学外交が
個々の国家の利益と参加国の共通の利益との間のバランスをとるのに役立つかということを明確に示すものである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]